F35は日本の防空に役立つか
Japan In-depth / 2018年12月24日 10時23分
照井資規(ジャーナリスト)
【まとめ】
・今日の軍事技術ではハイテク戦闘機による「質的優勢」は実現できていない。
・ステルス戦闘機はレーダー以外の方法では容易に探知される。
・ハイテク戦闘機ほど実戦配備後に墜落するおそれが大きい。
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11月27日、政府は最新鋭ステルス戦闘機「F35」を米国から最大100機追加取得する検討に入ったとの報道がなされた。取得額は1機100億円を超えるので合計1兆円以上にもなる。既に装備化が決定している42機と合わせて将来的に140機体制に増える見込みである。
当初は今から50年前のベトナム戦争時代の機体である「F4」戦闘機の後継としてのF35の42機取得であったが、現在航空自衛隊が運用している200機の「F15」戦闘機のうち、100機を改修して継続運用、改修不可能な残り100機のF15の更新にも適用するため今回の最大100機の追加取得となった。F35への更新をもって戦闘機の「質的優勢」確保に役立てることが目的で、これには中国の軍備増強に対抗するとともに、米国装備品の購入拡大を迫るトランプ米大統領に配慮を示す狙いもあるようだ。
その一方でカナダ政府は14日までに、F35全65機導入の白紙撤回を正式決定した。購入・維持価格が160億ドル(約1兆3360億円)から、3倍近い450億ドルへと高騰したためである。戦闘機は国民の税金で購入するものであり、実際に国防の役にたってこそ意味がある。カナダ政府の決断はF35の費用対効果が非常に悪いことの証左である。日本のF35取得は日本の将来の戦闘機開発・製造基盤作りにつながるとの見方もあるが、F35戦闘機の核心部分の情報は公開されないのであるから、技術取得の面でもどれほど役に立つのだろうか疑問である。
ステルス戦闘機とは、レーダーにて探知されにくいというだけである。技術が進化した現在、戦闘機を探知する方法は他にもある。機体が大きければ空中に著名な熱源として容易に探知される。また、目視でも発見されやすい。そもそも、現在の軍事技術をもってしても戦闘機の「質的優勢」は実現できていないのであるから、F35戦闘機が日本の防衛に本当に役に立つかは疑問である。
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