変わる市民の役割~世界が挑戦 市民への統合型救命教育~1
Japan In-depth / 2019年2月19日 19時14分
照井資規(ジャーナリスト)
【まとめ】
・救命における市民の役割は「直ちに救命の手を差し伸べる人」
・救命のチャンスは倒れてから1分から3分以内、対処は共通「心臓を止めるな!」
・テロなどで発生する銃創、爆傷、刃物による致命傷、受傷後1分で死亡率50%
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■ 変わる一般市民の役割 By StanderからImmediate Respondersへ
アメリカ合衆国では2015年7月1日にハートフォードコンセンサス第3勧告書が公表されて以降、突然死や外傷死の救命における市民の役割について、「By Stander(バイスタンダー)」とは言わなくなった。現在は「Immediate Responders(直ちに救命の手を差し伸べる人)」である。
同年10月5日よりホワイトハウスからの通達よりStop the Bleedキャンペーンが開始され、Immediate Respondersとしての教育が学校や教会などで行われるようになり、毎年3月31日を「NSTBD:National Stop The Bleed Day」として定め、全アメリカ国民が救命について学ぶ日となっている。イスラエルでは国民全員を後述する「First Responder」とすることに努めている。
▲写真 2018 International Trauma Conference in St. Louis. Missouri November 7-10, 2018 ITLS※:International Trauma Life Supportが主催する国際会議にて
※ITLSとは Improving Trauma Care Worldwide外傷救護・救命・治療の発展に努める国際的な取り組み
▲図 制作:照井資規2018 無断転載を禁じる
https://www.facebook.com/NARescueLLC/videos/1799433806775354/
▲動画 アメリカの小学生が成人男性の大腿部のライフル弾銃創を模した外傷模型を用いて止血法を実習している様子
Stop the Bleedキャンペーンとの名称ながら外傷の止血に限らず非外傷性心肺停止までを含めた救命手当全般の普及を目指し、救命の考え方も「心臓を止めるな!」に統合され、よりシンプルになった。以前は外傷救護の止血法と非外傷性心肺停止の心臓マッサージやAEDの使用法、人工呼吸法は別々に行われていたが、これらを統合して総合的に教育した方が、外傷にも非外傷性心肺停止にもそれぞれに適応して救命手当を行えるようになる。
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