期待外れギャンブル依存症対策に今すぐパブコメを!
Japan In-depth / 2019年3月25日 8時28分
田中紀子(ギャンブル依存症問題を考える会代表)
【まとめ】
・内閣官房、「ギャンブル等依存症対策基本法」策定に必要な人員排除。
・ギャンブル等依存症対策は本質を見ず、IR法案対策となりつつある。
・依存症対策基本法に4つの問題点有り。パブコメで意見表明を。
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昨年度、大騒ぎをして通過した法案の一つにIRカジノ法案があるが、あの法案を通す推進派の言い訳に「ギャンブル依存症対策をしっかりやる!」の大合唱があったことを、皆さん覚えておられるだろうか?
もちろん我々は、カジノを作ることにもろ手をあげて賛成などできないが、今まで顧みられることのなかったギャンブル依存症対策が、これで前進するのでは?と、大いに期待するところであった。
確かに現在、厚生労働省や文部科学省そして金融庁、消費者庁らが、前向きにギャンブル依存症の当事者・家族の思いをうけ、様々な対策を講じてくれるようになったが、信じられないことに「ギャンブル等依存症対策基本法」の策定に関わる、肝心の内閣官房が徹底的なギャンブル産業つまり既得権の擁護、および当事者・家族の切り捨てにかかってきたのには、驚き、困惑、そして失望しかない。このまま内閣官房が、さらなるギャンブル産業を発展させようと動き出すことには、大いなる警鐘を鳴らしたいと思う。
まず内閣官房のホームページでギャンブル等依存症対策基本法の関係者会議のHPをご覧いただきたい。関係者会議は2019年2月20日に突然公開の通知もなく行われた。
アルコールの健康障害対策基本法では、あらかじめ日程が発表され、会議の公開のお知らせがなされたのに、このやり方にも驚いた。
そして関係者会議のメンバー表を見ていただきたい。ギャンブル等依存症対策基本法にもIR(カジノ)法案にも「当事者・家族の代表に意見を聞く」という文言があるにも関わらず、なんと当事者・家族の全国を縦断する予防啓発、相談支援を行っている団体を排除してきたのである。
ギャンブルで予防啓発、相談支援を全国にまたがり活動しているのは、私たち「公益社団法人 ギャンブル依存症問題を考える会」、もしくは「NPO法人 全国ギャンブル依存症家族の会」しかない。だから当然この二つの団体のどちらかを関係者会議に入れなければ、現在、全国でどのようなギャンブル依存症問題が起きているか?当事者・家族はどんな支援を求めているのか?医療や行政の支援にどのような連携が必要か?支援の手薄な地域はどのようなところか?などなど、現状の課題と問題点を全国規模で把握しているのはこの2団体しかない。そしてこの2団体はつねに連携し、身銭を切って支援に駆けずり回っているのである。
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