RWS搭載海自護衛艦に疑問
Japan In-depth / 2019年4月7日 23時0分
海軍用のRWSは2000年にUSSコールが自爆ボートに襲撃された事件をきっかけに各国海軍が近接防御用として急速に採用してきた。手動式の機銃座に比べて、遥かに正確にターゲットを捕捉、追尾して攻撃することが可能である。またビデオ画像によって交戦の一部始終を録画できるため、後に交戦の正当性を証明することができる。
▲写真 自爆テロに攻撃されたUSS Coleの船腹 出典:US Navy
我が国では2001年に北朝鮮の不審船と海保の交戦があった。このとき巡視船は搭載されていたRWSの一種である20ミリ機銃を装備した無人砲塔を使用し、その模様はニュースなどでも繰り返し報道されたが、海上自衛隊はRWSの採用にこれまで消極的で、全く装備してこなかった。
▲写真 防衛省技術研究本部が発表した車輛搭載用RWS 画像提供:清谷信一
海自が採用したこのRWSは平成21~23年度までに技術研究本部(現防衛装備庁)が陸上自衛隊の車輌搭載用として12億円を掛けて研究試作されたものをベースにしている。主契約者は日本製鋼所である。このRWSはサーマル・イメージャー、ビデオカメラ、レーザー測距儀、自動追尾装置、安定化装置などが組み込まれたもので、火器としては5.56mm、7.62mm、12.7mm機銃及び、40mmグレネードランチャーが装着して評価された。
その後陸自では採用がなく、コマツが開発した8輪の装輪装甲車(改)に搭載されるはずだったが、このプロジェクト自体がキャンセルされたため、陸自がこのRWSを採用する計画は現時点では存在しない。
▲写真 技本が発表した車輛搭載用RWSとコントロールパネル。海自用はこれをベースに開発された 画像提供:清谷信一
海自ではこのRWSの搭載火器は住友重機製の12.7mmM2機銃と、日本製鋼所が独自に開発した動力付きの20mm機関砲が評価されたが、12.7mm機銃型が選択された。なおこの20mm機関砲の反動はM2よりも小さいという。日本製鋼所はこの20mm機関砲搭載型の試作品は平成29年に87,544,800円で日本製鋼所が防衛装備庁から受注している。
なお海自によるとこのRWSはノルウェー、コングスバーク社製のシー・プロテクターと比較を実施し、国内品は輸入品に比べ、維持整備が容易であること、海自の所要に合致した陸自要求の研究試作品があったこと等を考慮し、国産品を選択したのとのことである。だが実態は単に書類審査をしただけのようだ。
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