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RWS搭載海自護衛艦に疑問

Japan In-depth / 2019年4月7日 23時0分

このRWSは30FFMの艦橋のルーフのセンサーマストの付け根左右に装備される。仰俯角や旋回半径、サーマル・イメージャーのスペックなど仕様の詳細は公開されていない。このRWSには陸自型では装備されていたレーザー測距儀や自動追尾装置などが装備されていない。同様にビデオ映像を保存する録画機能も付加されていない。


これは海自がRWSを主として見張り用であり、また単に遠隔で射撃ができればいい、見張りと機銃の要員を兼ねさせればクルーの数を減らせるという考え方のためだろう。射手と補弾手、監視要員の3名を1名でこなせるので省力化になるというわけだ。


また見張り要員が艦橋横の見張り用の張り出しにでて雨風に耐える必要がなく、ブリッジ内で見張りができるので負担が軽減できるということだろう。このためか30FFMにはその他の機銃の銃架は設けられない。


だが、これはRWSの導入としては極めて歪んだ考え方だ。本来RWSは水上艦艇の近接防御のためのシステムである。口減らしのためのものではない。左右2基のRWSでは360度の近接防御は不可能である。これまで海自の護衛艦は近接防御用として20ミリガトリング機関砲を装備したCIWS(Close In Weapon System)を搭載していたならば、RWSの死角をカバーできたが、FFMが採用したSea RAM(Rolling Airframe Missile)は短距離用ミサイルしか搭載していないので向いていない。このため後部はほぼ死角となる。



▲写真 CIWS(Close In Weapon System)画像提供:米海軍


このRWSはコスト削減のため本来必要なレーザー測距儀と自動追尾装置を外したので、高速で接近するボート、特に自爆ボートには無力である。RWSを導入する理由をわかっていない。僅か1~2千万円程度の費用をケチって本来必要な機能を外して、1隻5百億円近いFFMと乗員の命を危険に晒す必要があろうか。


海幕と装備庁は30FFMについて、コスト削減と省力化という手段を目的化しているのではないか。コスト削減というのであれば何ゆえ、12.7ミリ機銃は高い国産を採用したのだろうか。平成30年度に海自は調達単価660万円で2丁の12.7ミリ機銃を調達している。(参照:『自滅する国産機関銃 輸入へ切り替え』)


だが米軍調達単価は約1400ドルである。国産品の単価はその4.4倍以上である。輸入コストがかかっても160万円程度、悪くても半額以下程度だろう。そうであれば、輸入に切り替えれば2丁で700万円以上の節約が可能ある。まとめ買いをすればコストは更に下がるはずであり、1丁あたり450万円、実に6割程度のコスト削減が可能になるはずだ。なぜそれをやらないのだろうか。


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