RWS搭載海自護衛艦に疑問
Japan In-depth / 2019年4月7日 23時0分
光学サイトにしてもサーマル・イメージャーよりも三菱重工が既に実用化している、熱源がなくても探知できるレーザーレーダーの採用も検討すべきだろう。
▲写真 三菱重工が開発したレーザーレーダーシステム 出典:三菱重工ホームページ
昨今ではドローンの脅威が高まっている。せっかく自国で開発するのであればドローンに対応するためにより仰角を大きくすべきだろう。その場合20ミリ以上の電子信管装備の炸裂弾を使用する方が有利であり、その採用も検討すべきだっただろう。RWSは導入後に運用の経験を活かして、必要とあらば仕様変更や、追加を検討すべきだ。
筆者はこのRWSについて装備庁に取材したが、基本的なスペックすら非公開だといわれた。あまりにナイーブだ。装備庁に外国では普通に公開している情報を何故隠すかと尋ねたら、「このRWSは外国に輸出するわけでもなく、諸外国に手の内を秘匿するためだ」と説明された。
そうであれば護衛艦の排水量など含めた基本的な仕様なども秘匿しているはずではないか。率直にいってRWSは多くの国で開発、装備されており、仕様はそれほど大きな差はない。隠さなくてもいい基本的な仕様を隠すというのは、何が重要で、何が重要でないかをわかっていないと宣伝しているようなものだ。中国のメーカーだって搭載火器の仰俯角や電源などの情報はカタログに書いてある。
輸出しないにしても納税者に対して説明責任はあるはずだ。諸外国のものと比較して、導入したものがふさわしいか納税者にも判断する権利がある。それはないのだ、民間人は黙っていろというのであればかつての帝国海軍と同じである。その帝国海軍は健全な民間からの批判もなかったので自らを顧みることも反省することもなく、無謀な戦争に突き進んでいった。民主国家の「軍隊」であれば可能な限り納税者に情報を開示すべきである。「我々は自衛隊であるからその必要はない」というのであれば、自衛隊は非常に危険な組織ということになる。
▲写真 防衛装備庁が入る防衛省庁舎正門。 出典:本屋 (Wikimedia Commons)
他国が普通に公開している情報を隠蔽することは、自衛隊の装備を他国の装備と比較することを難しくする。このような過度の秘密主義は納税者に対する説明責任を果たさないということになる。何故国内製を選んだのか、諸外国の製品と比較して判断できる材料の提供を拒むことになる。それは、劣った日本製を導入したいがために外国製と比較されたくないのだ、という疑念を招く。
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