RWS搭載海自護衛艦に疑問
Japan In-depth / 2019年4月7日 23時0分
しかもそのくせ型式の古いコンピューターを高い値段で調達しており、その予算があるならばまともなRWSと、合わせて数丁の機銃を導入し、死角をなくすことができたはずだ。
▲画像 海保巡視船による不審船(北朝鮮工作船)船体への威嚇射撃(2001年12月22日)出典:海上保安庁ホームページ
以前から北朝鮮不審船と海保の巡視船との交戦やソマリア沖での海賊対処に対する艦隊の派遣などRWSが必要な事態が存在するのに先述のように海自はRWSの導入に無関心だった。筆者の聞くところでは16DDH「いせ」の火器担当の艤装委員はRWSという単語すら知らなかったというお寒いレベルだ。あまりにも浮世離れしていないか。
海自はRWSの運用経験がない。メーカーである日本製鋼所もこれまでに陸上用にしろ海軍用にしろ、製品化されたRWSはなく、当然ユーザーからのフィードバックもない。そうであれば、海外製あるいは国産試作品を実際に艦艇に搭載して運用の方法やノウハウを獲得することが必要で、これを元に必要な要求仕様を作る必要があったはずだ。だがそれもおこなっていない。つまり机上の空論で運用構想を作って調達を行った。
▲写真 25ミリ機関砲を採用したタイフーンRWS 画像提供:ラファール社
例えば他のシステム、例えばラファエルのタイフーンやアセルサンのATAMPなど他国の海軍用のRWS等を実地に調査比較検討すべきだったがしていない。初めから国産ありきの結論でプロジェクトが進められた。コンバーグのRWSもカタログを比べただけだ。
そして実際に日本製鋼所か開発したRWSにしても実際に艦艇に搭載して試験も研究も行っていない。にもかかわらず海自はそれをやらずに要求仕様を作り、国産に決定して経験のないメーカーに丸投げして開発させ、それを採用したことになるのではないか。これは極めて無責任であり、果たして実戦で役に立つのかは甚だ疑問である。
搭載機銃にしても12.7mm機銃ならば発射速度の遅いM2よりもより発射速度が高いM3や7.62mmガトリングガンも考慮すべきだっただろう。また機関砲や対戦車ミサイルなどを搭載している可能性がある海賊船や不審船対策であれば、威力と射程の長い25~40mm機関砲を搭載したRWSも必要だろう。
▲写真 発射速度が高い12.7ミリM3機銃 画像提供:FN社
実際に諸外国では機銃と中口径機関砲を搭載したRWSを併用するケースも少なくない。特に自衛隊は諸外国よりも火力により攻撃を避ける傾向がある、そうであれば相手の射撃を困難にする音響兵器やストロボ機能がついたサーチライトなどのノンリーサルウエポンの搭載も検討すべきだったのではないだろうか。
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