五輪後も景気は腰折れしない
Japan In-depth / 2019年4月16日 18時0分
内需だが、設備投資は基本的には、この前の3月短観を見ると、2019年度の計画は企業も強気だ。個人消費と設備投資が底固いので、輸出が下振れしても景気ががたがたと崩れたり、景気後退には陥らないようになっているという構造だ。
▲図:消費活動指数(季調値) 出典:日本総合研究所 日本経済展望
▲図:機械受注と建築着工(季調値) 出典:日本総合研究所 日本経済展望
■景気後退にはならない
我々は若干楽観的だ。景気後退を予測するエコノミストも出てきているが、我々は景気後退には至らないと見ている。底堅い内需に支えられ、緩やかな景気回復が持続するということだ。
2019年度の実質GDP成長率が0.8%。20年度は0.9%。日本の潜在成長率は1%弱なので、潜在成長率並みの成長が続くということは、緩やかな景気回復が続くということだ。
他のシンクタンクは中国の影響をより重く見ている。中国が落ち込んでいるのは一時的ではなく、構造的な問題だという見方だ。設備投資は景気がもう循環局面の終わりに来ているにも関わらず、企業側がこんなに積極的に来ているのはおかしくて、中国景気が悪化する中で、やはり企業も設備投資のスタンスを初期化するのではないか、という見方もある。しかし我々はそうは見ていない。いずれにしても中国経済が鍵を握っている。
■中国経済の見通し
▲図:中国 2019年の主な内需刺激策 出典:日本総合研究所 日本経済展望
中国を担当している当社のエコノミストは「4〜6月」には持ち直すと分析している。政府の内需刺激策がしっかり出てきたことと、米中対立の当面の緩和がその理由として挙げられる。
中国経済の減速は米中貿易摩擦と期を一にしていたので、米中貿易摩擦の影響で中国経済が減速したと考えられているが、我々はそう見ていない。別の要因として過剰設備の問題がある。国有企業の過剰設備や不良債権を早く解決しないと、生産による人口は増えていかず危ないということで改革をしたが、それを少しやり過ぎた為、中国経済に減速が出てきた、という背景がある。
▲図:中国 インフラ投資(年初来累計、前年比) 出典:日本総合研究所 日本経済展望
不良債権問題は解消されてきていない。解消される前に中国経済の減速が明らかになって、そうすると雇用面も悪化し、社会が不安定化する。安定成長に舵をまた戻した。
私自身、思っていたより米中貿易摩擦は長引いている。多くの識者が言うようにこれは覇権争いだ。これだけ中国経済が成長している中で、特にAI関連の第4次産業革命で、中国が世界をリードしつつあるので、米国としても野放しにしておけない状況に変わった。
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