五輪後も景気は腰折れしない
Japan In-depth / 2019年4月16日 18時0分
■オリンピック後の日本経済は堅調
オリンピック需要は、1964年のオリンピックとは異なり、東海道新幹線とか、そういった大きなインフラを付随的にやっていない。東京都で4000億円くらい伸びたが、これが剥落するとしても、GDPの0.1%程度に過ぎない。
従って、オリンピックの反動減はそれほどではないのではないか。また、建設関連も伸びているが、特に伸びているのが製造業、飲食、宿泊、倉庫関係。製造業関連で見ると、今、製造業では設備投資が過剰ではなく、むしろ不足している。古い工場を新しく更新して、最新設備でやっていこうという動きが出てくるので腰折れはしない。
次に飲食・宿泊。これはインバウンドが関連している。訪日外客数とインバウンド消費。訪日外客数は増えてきている。去年の夏場に北海道での地震があったり、西日本での豪雨があったりして落ち込んだが、その後落ち込む前を上回っている。予想通り6か月ほどで回復した。アジア新興国の中所得者層が拡大しているという大きな動きがある。日本としても観光客受け入れ態勢を整備している。オリンピックが終わっても、飲食・宿泊の伸びは腰折れしないのではないか。
▲図:訪日外客数とインバウンド消費(季調値) 出典:日本総合研究所 日本経済展望
最後に倉庫関係だが、Amazonを中心とした宅配で消費活動が大きく変わってきていおり、その動きは今後も続いてくだろう。数字を見ても、かなり高水準で倉庫関連の工事費予定額は堅調に推移しているので、オリンピック需要は確かにGDPを0.1%押し下げるが、それ以外の建設需要は着実に出てくるのではないか。
また、住宅についてだが、貸家の狭小アパートが相続税増税に伴う節税需要で大きく増えた。その動きがしばらく続いていたところ、金融庁、日銀が、スルガ銀行の問題などで引き締めて、厳しくモニタリングなど行っているので、落ちてきた。景気とはまた異なる要因で増えていた部分が、反動で落ちているということだと思う。
オフィスビルは現状としてはすごく引き合いが強い状態。空室率も過去最低基準。90年代のバブル期なみに下がっている。賃料も緩やかに上がっているが、水準を見るとそれほど高過ぎず、バブル期と比べると40~50%くらいの水準だ。必ずしもテナントがそこまで強い成長期待を持っていないので、賃料も今のところ上がってはいるものの緩やかで無理のない水準になっている。従って、上がり過ぎて、空室率が一気に高くなって過剰になる、ということはないと見ている。
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