五輪後も景気は腰折れしない
Japan In-depth / 2019年4月16日 18時0分
(不利益を被った)人達の声が大きくなると政治家も無視できなくなり、産業革命や自由化の動きを阻害するようになる。そうすると日本全体の成長率が落ちてくる。これは懸念している。そういった人達が、新しい、需要が高まっているセクターに上手くシフトしていけるかどうかがキーだ。日本が潜在成長率を高めていくため、生産性を高めていくためには重要だ。つまりはリカレント教育だと思う。
■子育て層は損している
(子育て層の収入は)マクロでは増えている。ただ、昔の30~40代、例えばバブル世代の方がどれだけ貰っていたかと比較すると、如実に落ちている。昇進を遅らせるという形で。例えば、昔は10人のうちの3~4人が課長なり部長になっていたのに、今は1人だけとか2人だけとか。先行きを見た時に、こういう風に賃金が上がっていくだろうと思っていたものが下がっていく。
(企業が)固定費を増やさないようにしている。大手企業はバブル世代などボリューム層を役職に就けて賃金を上げていかなくてはいけないので、他の人を縮小しないと、ということで昇進を遅らせる。一方でもっと若い20代の人は、人手不足で新卒採用市場がすごくタイトなので、その分は賃金を上げていかないといけない。ちょうど30~40代の子育て世代の人達が割を食っているという状況。30~40代は就職氷河期世代。就職でも苦労し、今は50代と若者に挟まれ、更に今損しているという状況。
■スキルにあった賃金設定を
原理原則に戻るべきだ。一番大事なことは、職務・スキルにあった賃金設定だ。今はそうなっていない。年齢別賃金を国際比較すると、日本は50~59歳がピークで、60歳以降は下がる。中には高年齢層になると昔のように働けなくなる方もいるかもしれないが、この下がり方は国際的に見て異常だ。これは50~59歳の賃金が高過ぎるというのもあるが、日本特有の、年功序列で長く雇用するというのも関わっている。
▲図:年齢別賃金 出典:日本総合研究所 シニア就業促進のための課題
これは皆が不幸になるシステム。賃金とはパフォーマンスベース(であるべき)。成果主義とかそういう短期的なことではなくて、職務スキルに見合った賃金設定をやっていこうと。57歳だから下げるとか、50歳になったから部長に、とかではなくて、この人がどういうスキルを持っていてどれだけ会社の利益に貢献できるのか。これをしっかり切り分けて賃金設定をすべきだ。
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