アルゼンチンにデフォルト再来懸念
Japan In-depth / 2019年9月21日 18時0分
山崎真二(時事通信社元外信部長)
【まとめ】
・大統領予備選で財政規律派現職が大衆迎合的な左派に大差で敗北。
・本選で左派勝利なら貧困層優遇のバラマキ政策で財政赤字膨張。
・国際的にアルゼンチンのデフォルト再来懸念が増しつつある。
【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=48032でお読みください。】
南米の大国アルゼンチンでは今秋の大統領選挙を控え左派ポピュリスト勢力が勢いを増す中、経済不安の深刻化と相まって国際金融界に新たな新興国リスクとして懸念が広がりつつある。
■ 大統領選予備選で現大統領が衝撃的大敗
8月11日アルゼンチン政界には衝撃が走った。10月27日の大統領選本選の行方を占うものとして注目されていた予備選で経済改革を進める中道右派のマクリ現大統領が、野党の左派候補フェルナンデス元首相に15ポイントもの大差をつけられ敗北したからだ。
これを受けアルゼンチン通貨ペソは対ドルレートで約25%以上暴落した。同国の株式、債券市場も大幅下落、いわゆる市場全面安の様相を呈した。
国際通貨基金(IMF)の支援を受け財政規律重視の経済政策を進めていたマクリ大統領が大統領選本選で敗北し、大衆迎合的政策を掲げる政権が誕生するとの観測が内外に広がったためである。
米S&Pグローバル・レーティングスはじめ欧米の格付け会社は相次いでアルゼンチン国債の格付けを引き下げた。
▲写真 アルベルト・フェルナンデス元首相 出典:Wikimedia Commons; Todo Noticias
■ 景気低迷、インフレと失業が増大
マクリ政権は2015年12月の発足以降、前政権下で膨らんだ財政赤字の縮小、為替・貿易・資本規制の撤廃など構造改革を推進したが、昨年春以降、米国の金利上昇などからアルゼンチン・ペソの大量売りに見舞われ、経済危機に直面。マクリ政権はIMFから、財政健全化などを条件に最終的に総額560憶ドルの支援を受けることになった。
しかし、アルゼンチン経済は一部好転の兆しが見られたものの、金融引き締めによって景気が一層低迷する一方、インフレが高騰し、失業が増大した。マクリ大統領の人気は急降下、今回の大統領予備選の事前予想でも、野党候補のフェルナンデス元首相に敗北するとの見方が強まっていた。だが、15%もの大差をつけられるとは現地のほとんどの政治アナリストにとっても予想外だった。
この記事に関連するニュース
-
【舛添要一連載】岸田政権の命運握る「3つの補欠選挙」、野党の存在意義まで問われる戦いに…
Sirabee / 2024年4月22日 7時0分
-
米国、ベネズエラの経済制裁を再開 独裁政権が野党弾圧 公正な大統領選へ圧力
産経ニュース / 2024年4月19日 16時9分
-
ポーランド統一地方選挙、野党PiSが首位獲得(ポーランド)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月17日 0時50分
-
どれだけ自民党が嫌いでも、「無能な野党」しか選択肢がない…米政治学者が憂う「日本政治の機能不全」
プレジデントオンライン / 2024年4月13日 7時15分
-
トルコ統一地方選「野党が20年超ぶりに全国規模で勝利」エルドアン大統領率いる与党敗北の裏側
ニューズウィーク日本版 / 2024年4月10日 10時56分
ランキング
-
1森元首相「私を陥れる作り話」 月刊誌で反論、還流関与を否定
共同通信 / 2024年4月26日 21時43分
-
2“防犯カメラが捉えた一部始終”ハサミの片方の刃を手にした男が、突然居合わせた男性客を襲う…オープン初日の飲食店内は騒然 殺人未遂の疑いで男を逮捕
北海道放送 / 2024年4月26日 19時26分
-
3東海道線、踏切で人身事故 横浜、15万人に影響
共同通信 / 2024年4月27日 0時54分
-
4傷害致死事件の“やり直し裁判”で無罪判決から一転 懲役6年の判決に… 新潟地裁は事件をどう判断したのか
BSN新潟放送 / 2024年4月27日 8時12分
-
5カスハラ「対応いたしません」=厳格な方針発表―JR東グループ
時事通信 / 2024年4月26日 20時16分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください