全国民PCR検査、今すべき?
Japan In-depth / 2020年5月17日 17時46分
安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
【まとめ】
・新型コロナ感染症で、「全国民に検査を」なる提言が出た。
・検査の精度の問題もあり、短期間の大規模検査は困難と思われる。
・むしろ、第2波、第3波に備えた医療体制整備と経済再構築が急務。
これまで「全国民にPCR検査を!」の大合唱について、私なりに見解を述べてきたが、今度は【新型コロナ・V字回復プロジェクト「全国民に検査」を次なるフェーズの一丁目一番地に】と題した緊急提言が5月8日に発表された。(以下、本提言とする)作成者は「鹿島平和研究所 国力研究会/安全保障外交政策研究会+有志」となっている。発起人は、法政大学教授(鹿島平和研究所理事)小黒一正氏と、京都大学准教授 関山健氏である。
尚、本提言の注釈*1に以下の記述がある。
*1 本緊急提言は、「鹿島平和研究所国力研究会/安全保障外交政策研究会」の一部メンバーや有志の責任で発表するものであり、鹿島平和研究所としての公式見解を示すものではない。なお、本提言は、添付の長文論稿(小黒・関山)における分析を参考にまとめられたものであり、賛同者はこの提言の趣旨に同意するものであるが、論稿の個別の箇所については賛同者の間にもさまざまな意見があることを付記しておく。
従って、ホームページの緊急提言と小黒・関山両氏の長文論稿(以下、論稿とする)は別物であることに注意されたい。
■ 命も経済も守る出口戦略
上記にある両氏の論稿は、提言「緊急提言 新型コロナウイルス感染拡大からの「命も経済も守る出口戦略」と題し、その要点は以下の通り:
● 新型コロナウイルスは、二つのルートで人命を脅威に晒す。一つは重症化による死、そしてもう一つは外出制限や営業自粛の長期化による経済的死。仮に緊急事態宣言が 解除されても、感染が再び拡大し、医療崩壊を防ぐために自粛が再開される可能性も ある。新型コロナウイルス対策の「出口」とは、「命」か「経済」かの二項対立ではなく、徹底した検査により、人々が安心して消費、教育、運動、レジャーなどの社会生活を送れるようになる「命も経済も守る出口戦略」である。
● 大規模な連鎖倒産を回避するには、残り半年程度がタイムリミット。それまでに、全国民が1~2週間に1度PCR検査(承認申請中の抗原検査を含む)を受けられる体制(1日1000万件から2000万件の検査)を整備し、継続的に陰性の者は安心して外出や仕事を再開できるようにすることを目標とする必要がある。その際、PCR 検査に限らず、高精度で有用性が高い検査は積極的に取り入れる。
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