警察の暴力、日仏で違う意見
Japan In-depth / 2020年6月22日 11時42分
なぜここまで意見が変わってくるかの考察。
1.フランスと、日本での報じ方が違った
まず、コメントを読んでいると気が付くのが、フランスと日本での報じ方が違っていたという点だ。
フランスでのニュースでは、起こっている事件を、事実のみを語っているニュースが多い。まず、事件の始まりも、「車の中で寝ている人」がいて進路をじゃましていると警察に連絡が入ったという話から始まる。警察の記録に登録されている内容はそこから始まっているからだろう。確かに、その寝ている時点以前の内容、例えばそこまでたどりつくまでに飲酒運転しているかもしれない、などはその状況から得られる想像でしかない。そういった想像と思われることはニュースとして紹介されてないのだ。そして、他には、ジョージア州捜査局(GBI)の報告の内容と、家族の主張、現在の状況が紹介されている。(LCI)(BFMTV)(FranceInfo)
一方、日本では、例えばNHKでは、「飲酒運転」の疑いで拘束しようとしたと報じられており、飲酒運転であったようなことが印象付けられている。また、朝日新聞の記事では、最初の文ですでに、「警察に対する批判の声が一層高まりそうだ」と、警察の非難に対して焦点を当てている。そして両記事とも、事件概要の詳細は語られてはいない。FNNでは、「ブルックスさんがテーザー銃を警察官に向けて撃ったため、発砲した」ことを強調し、警察への同情、人種差別の境界線あいまいさについてのコメンテーターの独自意見による解説が付けられている。
フランスで見ているニュースに比べると、日本のニュースは内容がそこまで正確に、詳細には伝えられていないうえに、各社の考えがニュースに反映される傾向があるようだ。
そして、その後、SNSではそういった情報を元に、射殺が正しいことであるとしていくアカウントも複数現れて、拡散されていった。
2.日本では、ニュースや専門家への信頼が低い
「なぜフランスのニュースを信じるのですか。ニュースが言っていることを信じてはいけない。」という意見をいう人がいた。
1. を踏まえると、こういった意見がもたらされることにも納得がいく。これは、日本のニュースでは事実が正確に流されているのではなく、書き手のなんらかの「意図」が含まれているのだ。「ニュースを信じるな」というのは、その意図にだまされてはいけないという意味も含まれているのだろう。
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