警察の暴力、日仏で違う意見
Japan In-depth / 2020年6月22日 11時42分
▲写真 アトランタ・ボトムズ市長 出典:Flickr; Netherlands Embassy
そして興味深いのが、アメリカに在住の日本人も、「警察に抵抗しないのは鉄則だ」という。多分、私も、フランスで同じ状態になったときに、同じことを言うだろう。移民としてできる最大の防御だと日本人として考えるからだ。しかし、他の国の人を見ていると、その考えは常識ではない。育ってきた環境、受けてきた扱いで、その人の常識も変わる。日本人から見て最悪な方法だと思えることをわりと普通にしている人がいて、それが正しい場もある。日本の常識だけでは断定できないこともあることを、頭の片隅に入れておくことは大切だ。
5.日本では平等が普通
「人種によって特権があるのが許せない」
という意見があった。これは、人種によって差別が行われる現実を、よく理解していないがゆえの言葉だろうと考えられる。
よくフランスなどの西洋と日本の違いを説明するときに、考え方の違いから説明するのだが、私はその違いを、「2分離世界観」と「共存世界観」と名付けている。聖書が元になった価値観が広がった世界では、神は人とはまったく別物であり、神と人は別の世界に住んでおり、エデンと今人間が住んでる土地は別という「2分離世界観」だ。そのように常に分離されていることが普通の世界として成り立ってきた。その結果、「労働」と「バカンス」、「警官」と「犯罪者」、「白人」と「黒人」など、常に分けて考えられる。労働を強いられる世界にいながら、いつも夢見るのは神によって追放された幸福の世界エデンの園。そのため苦しみの世界で働かされていることから逃れ、そのエデンを疑似的に体感させてくれるバカンスを最高とする。そのように日常的に世界が分離している。大抵なんでも対立で考られて「2項対立」で話がすすむ。西洋から来たディベートも「2項対立」が基本だ。分けられたり、対立した状態から物事を考え始めるのが普通のことなのだ。
しかし古事記や日本書紀が元になった価値観では、人々は神々と一緒に同じ土地に住み、結婚までして子供まで作って一緒に働き、同じ世界で共存している「共存世界観」だ。現在住んでいる場所そのものが、神々が住む世界である。だからこそ昔の人は、身近なこと、労働する中に価値があるとし、ちゃんとそこに喜びを見出してきた。そのため、議論も、きっぱりと二つに分けては考えない。世界は白黒きっぱりわけられているわけではない、グレーもあると、最初から混沌としたものをそのままとらえて考えはじめる。頭が良い人が多いせいか、それでも最終的にはちゃんと結果にたどり着く。だがその複雑さゆえに過程がわかりにくく感じる人もでてくる。また仕事を選ぶことも平等であるから、どんな仕事にもつくこともできる。生まれた家庭によって就ける職業がきまるということもない。警官も、みんな自分と同じように働いている一人にすぎなく、同様な立場の人間、世界は同じという前提で普通に考え始めるのだ。そんな中で一部のみが優遇されたと感じれば、特権と考えられるようになる。
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