警察の暴力、日仏で違う意見
Japan In-depth / 2020年6月22日 11時42分
この点に関しては、フランスでもテーザー銃は殺傷するための武器ではないとアメリカのニュースをそのまま伝えているものの、討論ではテーザー銃は危険だとする意見も多い。BMFTVに出演していた警官によると、逮捕時にはフランスでは使用しないとのことだ。先日、抵抗するラッパーのモハ・ラ・スクアーレ氏が逮捕されるシーンを映した動画が拡散されたが、それを見ても、柔道やラグビーのような体技を駆使して手錠をかけている。アメリカでブルックスさんに行われたように、すぐさまテーザー銃が使用されることはないのだ。
▲写真 モハ・ラ・スクアーレ氏 出典:Moha La Squale Facebook
実際のところ、テーザー銃については意見もわかれるところなので、あくまでも殺傷能力がないというのは今のところアメリカの事情をベースにした弁護士の主張ととらえることができる。使い方によって危険性が変わってくることは事実なので、状況や使用方法など総合的に判断すべきではないだろうか。そのあたりは、今後の裁判で議論され、判断される部分となるのかもしれない。
この事件の現在までの動き
このように、これだけ日本のSNSで警察側が擁護され、話題になった事件であるが、一方、ジョージア州の州都アトランタの検察当局は17日、この警官を殺人罪で訴追する方針を発表した。項目は重罪謀殺を含む11に及ぶ。
地元検察当局のポール・ハワード検事は、ロルフ容疑者の発砲には正当な理由がなかったと指摘。血を流して地面に倒れたブルックスさんの体を蹴ったことも、罪を重くしたと説明している。また、ハワード氏は「ブルックスさんは撃たれたとき、警官たちに死や深刻な身体的傷害をもたらす直接的な脅威を及ぼしていなかったと、われわれは結論付けた」としたのだ。
重罪謀殺は重罪を犯した際に殺意の有無に関係なく人を死亡させた場合に適用される。有罪になると、最高で死刑あるいは終身刑となる可能性もある。今後、この事件がどのようになるかは裁判で判断されていくことになるだろうが、いうまでもなく、公正な裁判になることを願うばかりだ。
アメリカもフランスも日本も、先進国とひとくくりにされた国であるが、各国の考え方は大きく違う。その結果、同じ事件の同じ動画を見ても、同じ意見になることがないのは今回のことでも理解できると思う。同様に、各国の文化・歴史ベースに即した判断基準を尊重することが重要だということもよくわかる。今後も、各国の事件を見るときには両者が気を付けるべき点といえるだろう。そして、気を付けるためにも、何かあったときに適切に対応するためにも、機会があるたびに各国の考え方が違うこととその理由を知っておくことは、とても大切であることを付け加えておく。
最後に、協力していただいた皆様にお礼を申し上げたいと思います。掘り下げていくことでいろいろなことが理解できたのも、コメントしてくださった方々のおかげです。ありがとうございました。
トップ写真:フランス・警察官(イメージ) 出典:piqsels
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