警察の暴力、日仏で違う意見
Japan In-depth / 2020年6月22日 11時42分
反対に、フランスの一般に向けられているニュースは、基本は知り得ている事実のみが語られている。意見は、ニュースとは別枠で討論などで述べられるのだ。しかし、そうは言っても落とし穴はある。フランスのニュースは知り得た事実を言ってはいるものの、海外のニュースの場合、その情報源は現地のメディアだ。現地のメディアが流している情報がそのままフランスのニュースになることになる。アトランタのニュースも、ほぼアメリカでのニュースと同じ内容であった。それは日本のニュースが流されるときも同じで、日本のメディアが流す、「意図が含まれている」ニュースがそのまま流れるのだ。そうなると、「何かおかしい?」と思われる内容が流れている場合も出てくる。また特定のフランス新聞では、個人の思想も含める新聞もあるが、昔からその特定メディアの記事のみが日本に紹介されることが多く、そこから「フランスのニュースを信じるな」という考えに傾いていくケースもある。
また、今回は特に新型コロナウイルス関連のニュースで、「結果的に見ても、言っていることが正確ではなかった専門家」が、テレビや一部の記事などに登場し、それが日本では大きな批判の的になっていたが、フランスにも日本のそのメディアの情報がそのまま流れていたことの影響もあるかもしれない。
3.日本では逃げることへの受け取り方が違う
いただいた意見の中には、日本人の分析としてこのようなのがあった。
「日本では、警察に職務質問される場合、やましいところがない限り抵抗することはまずありません。我々は、抵抗するということはやましいところがある人と認識します。ましてや、武器まで奪って逃走となれば、逃げた人に同情的にはなりません。」
「日本人は公権力最強ってのが根底にあるからあそこまでお上に逆らったら撃たれて当然と考える」
まさにこの通りなのじゃないだろうか。そのため、他の方が書かれていた
「過失の判定基準がおかしい」
という意見が出てくるのであろう。
フランスの場合を考えてみると、逆らうことは正しいとはとられはしないが、逆らうことも当然のことでもあり、ある意味考えには幅がある。そのため逆らっただけで撃たれるのは通常規則ではアウトだ。警察で決められているプロトコルに従っていなければいけない。その視点から見た時、今回は、アトランタのボトムズ市長も事件後、すぐに、市警本部長の引責辞任を発表するとともに、「武器の正当な使用とは思えない」として、発砲した警官の懲戒免職を要求したことから、プロトコルに従った行動ではなかったと解釈できる。日本でも、もちろん決められた規則があり、アメリカにもあるが、それとは別に、日本の一般人としての感覚として、「抵抗し逃げることは悪事の肯定である」と絶対的に判断されることが大きい。
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