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陸自 開発実験団評価科長の尊皇攘夷

Japan In-depth / 2020年8月17日 19時0分

そのような当然行うべき努力をせずに、結果がでない、それは海外メーカーが悪いのだ、と責任転嫁を責任ある役職の人間がすべきではない。


““「開発から用途廃棄されるまでの何十年もの間、とことん責任を持って対応しようと、国内企業が見せてくれる『日本のために』という崇高な“理念”や“精神”の違いはとてつもなく大きい」””


まさに尊皇攘夷である。ビジネスに合理性ではなく、精神主義や浪花節を求めるのが当たり前だと思っておられるようだが、滅私奉公を求められる企業の側は迷惑だろう。まるで旧軍の亡霊だ。


そのような「『日本のために』という崇高な“理念”や“精神”」を持った三菱電機、島津製作所、富士通、東京計器、住友精機、住友重機などの国内防衛企業が何で防衛省に過去何度も過大請求するというスキャンダルを起こしたのだろうか。是非説明をして欲しい。それとも過大請求した企業は「外国企業」なのだろうか。


企業は営利団体なので、損してまで防衛省や自衛隊の浪花節には付き合わない。当然のことだ。損してまでも滅私奉公してくれるというのは思い込みだ。それに付き合うフリをしても、その分利益を乗せている。防衛装備品は原価+利益となっているが、原価に含まれている工数などを水増ししていることは公然の秘密だ。そうでないと赤字になるからだ。


高度成長期からバブルの頃、広告代理店は銀座や六本木のクラブやゴルフで担当者を接待していたが、それは当然ならが無料ではなく、請求書にオンされていた。それと同じことだ。田川評価科長にはそういう事情が理解できないのだろう。


そしてまた「『日本のために』という崇高な“理念”や“精神”」を持った住友重機は何十年も品質を誤魔化していた。そしてそれに陸自は気がつかなかった。発注側としての当事者能力が欠けているか、知っていて何らかの事情で放置したのだろう。


国内企業はそれでも利益が取れるように工数を誤魔化したり、マージンを乗せるなど「努力」を行っているが、それでも限界になっている。それでもう沢山と、戦闘機から住友電工や横浜ゴムが撤退、コマツも装甲車から事実上撤退中、ダイセルは防衛から撤退した。「『日本のために』という崇高な“理念”や“精神”」を持った企業が、である。


企業にしてみれば、このような非効率や無料奉仕を強いる防衛省に嫌気がさしているからだろう。利益率や利益額が下がれば研究開発や生産設備、従業員教育などへの投資ができなくなる。生産能力も低下する。そして事業として維持ができなくなる。滅私奉公を当然と期待するのは旧軍同様の精神主義でしかない。


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