コロナ禍で再認識 インクルーシブの重要性
Japan In-depth / 2020年9月4日 20時30分
同社では、マスクを工房で作り始めたが、現地の人はマスクを使うことに慣れておらず、文字が読めなくても使い方がわかるようにマニュアルを添えて現地の人に無料配布したという。
「急いでたくさんマスクを作ったことで、アシスタントも含め社員の技術が短期的に向上するという良い面もあった」。
一方、日本ではどのような状況だったのだろうか。福祉実験ユニット、株式会社ヘラルボニー代表取締役社長松田崇弥氏(以下松田氏)は次のように語った。
▲写真 株式会社ヘラルボニー 代表取締役社長 松田崇弥氏 写真提供:andu amet
松田氏:
「日本でも医療現場だけでなく、実は福祉現場でもマスクが足りていない。医療現場はSNSなどで発信できるが、福祉現場では、不特定多数の人たちに発信できていなかった」。
こうしてヘラルボニーは、福祉現場もマスクが足りない現状を可視化させるため、「おすそ分けしマスク」という企画を立ち上げた。55枚入りのマスクを購入すると手元に届くのは50枚で残りの5枚は福祉現場に自動的に配布される仕組みだ。
予想以上の反響があり、1579の福祉施設に対して合計60万枚のマスクを届けることができたという。
「コロナがきっかけとなって、私たちも関われるかもしれないという気持ちから『関わり消費』というか、応援消費のような新しい消費の形態の誕生を感じている」。
オーガニック米からエタノールで化粧品やアロマ製品などを製造販売している株式会社ファーメンステーション代表取締役酒井里奈氏(以下、酒井氏)は、拠点が岩手県だったことによる苦労をこう語った。
▲写真 株式会社ファーメンステーション代表取締 酒井里奈氏 写真提供:andu amet
酒井氏:
「岩手は新型コロナ感染症患者が最後まで出なかった、そのため(他県からの)移動が困難になり、製造拠点である岩手への出張ができなくなった。その間、こんなに遠隔で頑張った会社は少ないんじゃないかというくらい頑張り、新製品を作った」。
逆境をバネにしたのだ。今まで原料は作っていたが商品はメーカーに作ってもらっていた同社。しかし、今回、初めて商品の製造まで行ったという。
「香りが大事なのに、それが(現場で)見たり嗅いだりできない。zoomで覗き込んで、今だ!などと指示をしたり、みんなで考えながら製造を行った」。
■ 各社のインクルーシブ性
各社、消費者も巻き込んだ形で活動されている。まさにインクルーシブの一つなのではないか。各社の「インクルーシブ性」について聞いた。
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