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コロナ禍で再認識 インクルーシブの重要性

Japan In-depth / 2020年9月4日 20時30分

まず鮫島氏はエチオピア人の「援助慣れ」について語った。


鮫島氏:


「事業を始めたのは2012年からだが、こういったインクルーシブの事業を始めたいと思ったのは、ボランティアとしてエチオピアに住んでいた2002年。貧しい人を助けるんだ、という思いで現地に行って驚いたのは、援助慣れで、働くことをやめてしまった人たちが多いことだった。しかし彼らが怠け者でも、能力がないというわけでもなく、環境がそういった人たちを作りあげてしまっていた」。


しかし、彼らと「一緒に仕事をできるのではないか」と考えたのが、事業を始めたきっかけだと鮫島氏は語る。


同社の従業員の中には読み書きできない人もいるが、モチベーションは高く、日本の職人に引けを取らないほど丁寧で細かい仕事を行うという。


「途上国で仕事をしているので、援助や支援という目線で見られがちだが、そうではなく、win-winの関係だ。調達、生産、企画まで一貫して弊社のエチオピア工場で行うことで、品質管理ができたり、製造工程が環境に配慮できている」。


コロナで障害はあったが、生産、品質は落ちていない、と鮫島氏は胸を張った。


「非常事態ということで今まで以上に頑張ってくれている。現地に自分たちがコミットして、現場に入って生産している点がこのような結果をもたらしたのではないか」。


次に、インドネシアのカカオ農家と提携して商品を開発・生産している、フーズカカオ株式会社代表取締役 福村瑛氏(以下福村氏)は、現地での活動を紹介した。


チョコレートは実は発酵食品だ。発酵、収穫の工程は重労働で、かつセンシティブだという。そのノウハウは今まで現地では蓄積されていなかった。そこで、福村氏は、インドネシアの農家と一緒に発酵の過程を改善していった。


「最初は美味しくなかったがこれまでに感じたことのないくらいのカカオの風味を作ることができ、インドネシアのカカオの質が低いわけではないということに気がついた」と言う福村氏。


この技術をインドネシアの農園で確立させて他の農園でもできるようにしようと思い立った。砂糖とミルクを混ぜるチョコレートではなく、ハイカカオでも美味しいチョコレートが作れるはず。


そう考えた福村氏は、「農家自身でできるようにする必要がある。このノウハウを知った上でチョコレートトレーダーや消費者にカカオ豆を届けるという仕事をしている」。


andu ametは製造工程を全て会社が管理しているが、フーズカカオは現地にいる発酵のプロに任せつつ、間に入ってより質の良いものを高めている。違いはあれどトレーサブル、生産者の顔が見えるということが共通点だ。


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