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官庁の情報開示は途上国以下~記者クラブの弊害~

Japan In-depth / 2020年12月17日 23時39分

官庁の情報開示は途上国以下~記者クラブの弊害~




清谷信一(軍事ジャーナリスト)





【まとめ】





・当局と記者クラブの癒着で、公官庁の情報開示は極めて不十分。





・筋書きある大臣会見は「劇団記者クラブ」と当局の「小芝居」。





・記者クラブは取材機会の独占をやめ、あるいは解体せよ。









日本の報道の自由度は国際的な調査ではいつも下位にある。それは世界に類を見ない「記者クラブ制度」によるところが大きい。公官庁の記者会見は勿論のこと、レクチャー、勉強会、視察旅行、懇親会などのあらゆる取材や情報収集の機会を単なる一民間任意団体にすぎない記者クラブが独占し、他の報道機関やフリーランスのジャーナリストを排除している。このシステムで情報を囲い込み、当局と密室の中で癒着しているのだ。





筆者が外国メディアの記者として参加している防衛省の記者会見は実は防衛記者会(クラブ)の主催である。だが防衛記者クラブは町内会と同じような民間の任意団体に過ぎない。





その記者クラブが「報道の代表」を僭称し、他のジャーナリストを排除している。それは何の法的な根拠もない。しかも記者クラブは町内会以下である。町内会であれば町内会長がおり、明確な責任者が存在するが、記者クラブでは複数の会員が月替りで幹事を務めているだけで責任者はいない。つまり責任者が存在しない組織なのだ。





その胡乱な「一民間任意団体」が大臣会見などを主催しているのは国際的にみても異様という他はない。しかも記者会見は実はセレモニーに過ぎない。記者クラブメディアは記者会見では大臣が困るような質問をしない。防衛省では会見の模様は画像と文字で公開されているからだ。





会見後に廊下で「囲み」とか「ぶら下がり」と呼ばれるオフレコの記者クラブ以外の会見参加者を排除した「本当の記者会見」がおこなわれる。当局側は記者クラブに独占的に情報を与え、記者クラブ側は書かないことで当局に恩をうる。つまりは癒着関係にある。これでメディアによる権力監視ができるわけがない。





このような歪んだ関係が長年続いてきたことで、記者クラブの記者たちの感性やジャーナリストとしての「常識」が世間から随分とずれている。彼らは密室化された当局との関係性の中で、如何にキーパーソンに食い込み、スクープを取ることだけに熱中する。





このような当局と記者クラブの癒着による密室化によって、本来公官庁が納税者に対して行う情報開示が極めて少なくなっている。記者クラブは役所が情報公開をするよりも、自分たちが独占するほうが利益が大きいからだ。





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