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官庁の情報開示は途上国以下~記者クラブの弊害~

Japan In-depth / 2020年12月17日 23時39分

このため先進民主国よりも、中国などの独裁国家に近いレベルだ。情報開示は民主主義の根幹である。適切な情報開示がなされなければ、納税者も議会も議論は神学論争になる。この意味において我が国は民主国家としては大変未熟である。





これが特に防衛省では酷い。国防のためを言い訳にして他国では普通に公開している情報を隠蔽している。同盟国である米国では国防総省ができる限りの情報公開を行い、行政監査院や議会が極めてシビアに予算の使い方を監視、追及している。





例えば航空機であればどのような目的でこの航空機を採用するのか。詳細な構想とそれに掛かるコストを開示して議会と納税者の理解を得ようとする。





このため例えば既存機の飛行時間あたりの費用などが事細かく公開されている。また新型装備を開発する根拠や理由も詳細に述べられて、必要数、調達期間、総予算が明示された上で、議会の承認をえて予算化される。





対して自衛隊では戦闘機などでは事前の機数が公表されることがあるが概ね公表されない。海上自衛隊の護衛艦の最高速度は機密扱いとされているが、その根拠は開示されていない。こんなものは他国では普通に公開している。





ミサイルやセンサーの高度化によって護衛艦の最高速度をそれまでの30ノット以上から28ノットに落としても実は大して問題はない。事実欧州では水上戦闘艦の最高速度は27~28ノットというのは珍しくない。





実はこのくらいの速度にすれば建造運用コストは激減する。30ノット以上を出そうとすれば、水の抵抗も大きくなって機関の効率が極端に悪くなるからだ。28ノット程度であればエンジン出力は半分程度、ライフ・サイクル・コストにおける燃料費は1隻あたり数十億円も異なっている。





海上自衛隊が30ノット以上という根拠を示せば、その是非を国会やメディア、納税者が問うことができる。海自の言う通り30ノット以上が正しいのか28ノット程度まで落として、建造費や燃料代を削減したほうが良いのか、それは財務省や会計検査院は勿論、納税者も議論に参加するのが健全な民主国家の文民統制だ。





▲写真 護衛艦の最高速度は機密扱い。写真は進水した新護衛艦「くまの」(2020年11月19日 三井E&S造船玉野艦船工場:岡山県玉野市) 出典:防衛省 facebook



素人が軍事情報を知る必要はないとか、軍に異議を唱えるなというのでは旧帝国陸海軍や中国、北朝鮮と同じである。繰りかえすが、現状日本の官庁の情報公開は先進国とも民主国家とも言えないレベルだ。





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