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海自FFMと隊員減対策(前編)

Japan In-depth / 2021年1月10日 12時5分

クルー制とは同型艦に隻数以上の乗組員のチームを用意して、担当クルーの任務が終り、休息に入ったら引き続き次のクルーが乗り組むことによって艦の稼働率を上げるシステムだ。既に米英海軍や我が国の海上保安庁などでは採用されている。





海自でも2017年から第1音響測定隊の音響艦ひびき級で試験的に導入された。同級の2隻に3チームのクルーが編成されて交互に乗り組んで勤務している。この経験がFFMのクルー制に反映されている。FFMでは3隻あたり4チームのクルーが編成される予定だ。





1つのクルーが航海を終えた後にすかさず別のクルーが乗り組める。艦固有の乗員だと艦が定期整備を行うとその間は遊んでしまうが、クルー制ならば別の艦に乗り組むことができるので艦の稼働率が高まる。これによって乗員の航海時間の短縮と艦艇の稼働率の向上が可能だ。





ただ海幕によるとこれも暫定的な決定であり、艦とクルーの比率は変わる可能性もあるという。





海幕によるとFFMにクルー制を導入できたのには理由がある。まず船体の小型化と省力化で乗員を通常の汎用護衛艦の半分、イージス艦の三分の一程度の90名に抑えたことだ。これが大人数のイージス艦だと難しい。ついで艤装の標準化を厳格に行ったことだ。これまでの護衛艦は同じ型でも個々の艦で艤装がその都度異なっていた。例えば装置の型式や戸棚が全く別なものだったり、別の箇所に据え付けられたりしている。これではクルーが交代したときに戸惑い、支障が出る。戦時であれば尚更だ。





このクルー制の導入によって、例えば海賊対処などの海外任務では交代用のクルーを飛行機で現地の港に送り込んで交代することもできる。例えば中東と日本の間の移動が片道2週間とすれば往復で一ヶ月の航海が必要だ。クルー制ならば日本との往復が必要なくなり、その間の航海の必要もなくなり、クルーの負担が減る。また燃料も浮く。現在海賊対処派遣艦は移動も含めて半年交代となっているが、クルー制ならば例えば2~3ヶ月交代ということも可能だ。





クルー制は今後FFMだけでなく、海自の艦艇の多くに導入されるべきだろう。長期の洋上勤務が嫌がられるために、海自の隊員募集が苦戦し、途中退職者も多い。艦艇の乗組員を確保するためには待遇改善のためにクルー制は必要不可欠だ。





これから建造される艦艇に導入するだけではなく、新造のイージス艦や既存艦にも広げるべきだ。だが先述のように既存の護衛艦同型艦でも艤装が異なっており、現状ではクルー制を導入できない。現在海幕では具体的な計画はないとのことだ。





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