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海自FFMと隊員減対策(前編)

Japan In-depth / 2021年1月10日 12時5分

海幕は新造されるイージス艦に関しては否定的だ。仮に艤装が統一化されても配備される地方総監部、すなわち母港が異なるので難しいという。だが手段がない訳ではない。米海軍のように1隻2クルーという選択もあるだろう。





また既存艦にしても、フネの定期修理のときに艤装を共通化すればいい。またその艤装の共通化と同時に省力化のための改修を行えばいい。特に乗組員の確保が難しい潜水艦は最優先でクルー制を導入すべきだ。無論退役が近い旧式艦はコストパフォーマンスが悪くて難しいだろうが、比較的艦齢が若いフネならば可能なはずだ。またフネの数を削減してその分を人件費に充てることも検討すべきだ。





▲写真 潜水艦にこそクルー制導入を 出典:海上自衛隊 facebook



イージス・アショア代案としてもクルー制はもっと真剣に検討されるべきだ。そもそも政府は海自のイージス艦の負担を減らすためにアショアの導入を決定した。現在は、アショア代替案はイージス艦増勢が本命と見られている。





だが元々は8隻のイージス艦でミサイル防衛は可能と説明してきた。そうであれば、乗員の負担を減らすのであれば、8隻のイージス艦にそれぞれ2クルーを用意すればいいのではないか。無論定期修理は必要だが乗員の負担は格段に減ることになる。





新たに2隻のイージス艦を造るならば新たに2隻分の乗員が必要だ。それを差し引けば6隻分の乗員を確保すればよい。既存のイージス艦なら調達単価は約2千億円だが、SPY7を転用した新型艦は1隻3千億円も4千億円も掛かるともいわれており、既存のイージス艦より維持費が高く、互換性もない。





そうであれば6隻分の乗員を確保した方がコストの面でも、乗員の負担の面でも低いだろう。





その期待のFFMだが艦としては問題も多い。そもそも建造費は昭和61年、34年前にネームシップが就役した、ゆき級護衛艦と同程度にすぎないその金額で、装備が高度化した現代的なフリゲイトが建造できるわけがない。





実際に取材していると「安く造ること」「乗員を減らすこと」が目的化しているように思える。だがその反面高性能なコンポーネントを安価に調達するという意識が低い。世界を見れば安くて高性能のものが多数あるのに、単価の高い国内業者発注ありきで、スペックを下げて「安かろう、悪かろう」という調達が見られる。





これはコンピュータやジャイロコンパス(慣性航法装置)、レーダーなどで顕著だ。ジャイロコンパスの例を挙げよう。国内のジャイロコンパスは護衛艦及び潜水艦(所謂戦闘艦艇)が東京計器、その他の補給艦 や海洋観測艦等は横河電子がそれぞれ独占している。調達は、名目上は競争入札になっているが、事実上の随意契約だ。





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