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海自FFMと隊員減対策(前編)

Japan In-depth / 2021年1月10日 12時5分

確かに昔はジャイロコンパスの方位やリッピ・ロールデーターは射撃式装置の性能を左右する重要なものだった。したが って、このような高性能のジャイロコンパスは射撃式装置の一部として航海用とは別に調達されていた歴史があり、その結果が秘密指定されていた。だが現在ではセンサーやジャイロに用いるレーザー等の技術や理論は一般化されており、海外製品はそれらの数値をパンフレットに明記している。つまり秘密はない。





つまりジャイロコンパスは汎用品であり、国内企業を優遇する必要はない。海幕は調達仕様書の細部要求数値が秘密に属する、あるいは注意が必要としているため、その秘密を保管できる体制を整備し、また国内整備を条件としている。このため入札資格にもっとも厳しいAランクを要求している。この規制のお陰で海外メーカーの代理店がB、Cランクであれば入札から自動的に排除される。





だが現在のジャイロコンパスはメンテナンスフリーである。ジャイロコンパスの稼働時間は、航海している時間だ。仮に年間母港を離れている日数を150日、この日数全てを航海していると仮定すれば 、ジャイロコンパスが稼働している時間は3,600 時間だ。





平均故障間隔(MTBF:Mean Time Between Failures) が15万時間であれば、これを年間3,600時間の稼働時間で割れば、故障が発生するのは 平均で41.7年に 1回に過ぎない。この数字は艦艇が就役して除籍されるまでの年月を越している。つまり、基本的に整備点検を行う必要が無い。工場に戻ってくるのは、基本的にソフトウェア更新(アップグレード)のためだ。





ところが海自の全ての艦艇は定期検査等の度にジャイロコンパスの校正や整備点検を行っている。この費用は全艦艇分を合わせれば、巨額になる。このような点検は不要、あるいは国産品の品質が劣悪であるか、その両方ということになり、国産品を選ぶのであれば税金の無駄使いとなる。これは事実上国内メーカーへの補助金といってよい。このような仕組みは事実上の非関税障壁であり、フェアではないし、税金の浪費といえるだろう。





FFM2隻分のジャイロコンパス、OSNー3 2SEの調達費用は4億7,487万6,000円であり、1隻分2.37億円である。対して仏サフラン社のBLACK ONYXは約7千万円、同じく仏iXblue社のMarines M5が約4千万円、M7が7千万円である。つまり国内製品は3.4倍から6倍も高い。更に「整備費」が掛かるので、実際はそれ以上だ。公正な競争入札を行えばFFMの建造費や維持費はもっと安くなるだろう。その分の費用を、乗組員を増やしたり、航海手当などに充てるべきだろう。





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