海自FFMと隊員減対策(前編)
Japan In-depth / 2021年1月10日 12時5分
採用されたOPY-2多機能レーダー(三菱電機製)は平成27年度からの「新型護衛艦用レーダシステムの研究」に基づき、これまでのFCS-3系列とは別系統のレーダーとして開発されたもので、Xバンドの対空・対水上レーダーおよび砲管制に加えて、電子戦のアンテナも共用化することで、小型化・低コストを目指したものだ。だが初めての装備であり、電子戦(ESM、ECM)のアンテナを兼ねるのは、海自関係者からもリスクが高いとの指摘もある。
▲写真 FFMくまののレーダーはOPY-2を採用 出典:海上自衛隊ホームページ
例えば対艦ミサイル対処を行っている時にESMとECMは同時に実施する戦術だ。つまり、当該レーダーによる目標の探知追尾と同時にミサイルから発せられるシーカー波を探知し解析装置に送る必要があり、さらにECM攻撃を行うとなれば、自らの探知追尾用のレーダー波の周波数及び変調方式と相手ミサイルのシーカーを無効化する周波数及び同変調方式の二つの電波を同時に(正確にはミリセコンド単位で切り替えて)発射することが本当に可能かどうかということに大いに疑問が湧く。
対潜センサーとしてはOQQ-25水上艦用ソーナーシステムが搭載される。これは「可変深度ソーナーシステム(バイ/マルチスタティック用)」として開発され、曳航ソナーにアクティブソナーとしての機能を付加した可変深度ソナー(VDS/TASS)であり、自艦・僚艦間でのバイ/マルチスタティック戦術を可能とする。
バイ/マルチスタティック処理は僚艦が居る場合、自分の出した音波の潜水艦からの反射音を僚艦が受信して部隊として処理する方式だ。だが複雑で理論としては探知確率を上げ装備可能なのだが、複雑なシステム(時間同期、処理データの送受)であり、世界で実際に実用化して装備している艦艇は皆無だ。
電子光学センサーとして、OAX-3光学複合センサー(三菱電機製)が搭載される。調達単価は2億1,600万円だ。EO/IRターレットは世界で安価な同等品が出回っており、開発費の2億6千万円も掛け、1基あたり2億1千万円するものを国産化しなければならない理由が見当たらない。
また新たに近接防御用として採用されたRWS(リモート・ウェポン・ステーション)も問題が。RWSとは機銃などの火器とセンサーを搭載した無人砲塔で、射手は遠隔で操作する。
海自はRWSの採用では中進国からも2周遅れで昨今やっと採用した。その間諸外国の製品をサンプル購入して試験運用をしたが、運用ノウハウを蓄積することを怠ってきた。
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