海自FFMと隊員減対策(前編)
Japan In-depth / 2021年1月10日 12時5分
国産RWSは当初陸自向けに開発されたが採用実績はなかった。そもそも採用にあたって評価したのは日本製鋼所とコングスバーグだけだった。それも書面だけの審査だ。英国、イスラエル、海軍用RWSを生産している国々のメーカーの製品をきちんとリサーチもしていない。特にコストを重視するならばトルコを調査していなのは問題だ。トルコのアセルサン社は多くの海軍用RWSを開発し、輸出実績も少なくない。そして価格は欧米よりもかなり安い。コスト低減を真剣に考えるならばアセルサン社の製品の調査はマストのはずだった。
そして採用された日本製鋼所のRWSにしても経費節減のためか、既存の艦に搭載して運用試験や評価すらしていない。陸用に開発されたRWSを海上で使うためには改修が必要不可欠である。監視や目標探知が問題なくできるか。塩害対策は万全か等々の確認や試験は必要不可欠だったがそれをしていない。これでは不具合が起こって当たり前だ。
そして割高な国産RWSの「コスト削減」をするため、レーザー測距儀や自動追尾装置を外した。艦に光学センサーがあるからいいのだと強弁しているが、であればどこの国のRWSもそうしているはずだ。が、筆者の知る限りそんな海軍は存在しない。海幕も装備庁も何のためにRWSを導入するのか、真面目に考えていないのではないか。
RWSが担当するのは近接している高速艇やドローンなどを排除するためだ。これにレーザー・レンジ・ファインダーや自動追尾装置は必須だ。また交戦が正当かの証拠保全のために録画機能も必要だが、これもコスト削減のためか搭載されていないようだ。
ちなみに海保の巡視船には同様の無人砲塔が搭載されており、北朝鮮の不審船との交戦の模様はビデオで録画されていた。ニュースで見た記憶のある方は多いだろう。あの事件は2001年に発生したが、海自のセンスは当時の海保よりも遅れていると言ってよいだろう。
コスト削減ならば、兵装は高くて信頼性の怪しい住友重機製ライセンス生産の12.7ミリ機銃ではなく、オリジナルのFN社のものを調達すべきだった。そうすれば機銃調達費を80パーセントは下げられた。ところが国内業者に金を落とすためにわざわざ「高かろう、悪かろう」の機銃を選んだのだ。
海幕はRWSの導入を単に機銃の数を減らし、見張りと共用化することによって省力化することを目的としていたのではないか。艦内から見張りができれば担当者の負担も減る。だが、それは実戦を想定していない。
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