防衛省秘密主義、元凶は記者クラブ
Japan In-depth / 2021年5月24日 13時7分
▲写真 AH-64D戦闘ヘリコプター 出典:陸上自衛隊明野駐屯地ホームページ
陸幕に当事者能力がなかったのでAH-64Dの生産ラインが閉じることが分かっていたのに例によって少数調達を続けて、その後調達が不可能になった。ボーイング社がラインを閉じるのに調達数を増やそうともしなかった。
ライセンス生産を担当していたスバル側はそれではすでに投資した初度費用を払ってくれといったら、防衛省はそんな契約はないと、突っぱねたので訴訟沙汰となった。つまり数千億円ものプロジェクトが事実上口約束で、いい加減に行われていたのだ。
これが事前に国会に対して上記のような情報を開示していれば避けられていた可能性があった。
装備に関して、事前に調達の構想、調達予定価格や基本性能・仕様などを開示することは民主主義国家の「軍隊」では当たり前だ。その当たり前を拒否しているのが防衛省と自衛隊だ。納税者の税金を使って予算を組んでいるという意識が欠如している。
そして民主国家では公開して当然の情報をひた隠しにする。例えば近年採用された19式155ミリ自走榴弾砲だが、主砲の仰俯角や携行弾薬数を明らかにしていない。だが、諸外国の同様の自走砲を見れば仰俯角は大体想像がつく。
▲写真 19式装輪自走155mmりゅう弾砲(試作品) 出典:防衛装備庁ホームページ
携行弾薬にしても戦車などとは違い、車体外部に収納ケースに収納している。155ミリ砲弾、装薬のサイズは分かっているので簡単に携行弾薬数は算定できる。これを「国防上の秘密」と後生大事に隠蔽しているのはまるでコントであり、苦笑するしかない。恐らく仮想敵国や諸外国の軍隊は嘲笑しているだろう。
また海自が採用した日本製鋼社製のRWS(リモート・ウェポン・ステーション)に関しても筆者が防衛装備庁に取材したおりも、これまた「敵に手の内は明かせない」として仰角俯角などの情報は公開しないといわれた。
中国含めて諸外国ではそのくらいの基本データは公開しており、カタログにも掲載しているといったら、担当者は「輸出するつもりはないからいいのだ」といった。例外なく公開している情報というのは「秘密」たり得ないからだ。
彼らには納税者に対する説明責任があるという意識が根本的に欠如している。これまた独裁国家の発想だ。
そのような情報は納税者が税金の使い道を知り、国防のための議論をするために必要不可欠だ。だが防衛省、自衛隊は「民間人は軍隊を知る必要なし」とでも思っているのだろうか。であれば前の戦争で負けた旧帝国陸海軍と同じメンタリティである。
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