防衛省秘密主義、元凶は記者クラブ
Japan In-depth / 2021年5月24日 13時7分
そのくせ、このRWSには他国は標準装備しているレーザー測距儀と自動追尾装置はコスト削減のために採用しなかったということはあっさりと認めた。担当者が、何が大事で機密か分かっていない証左だ。
これはこのRWSの致命的欠点だ。そう指摘すると艦の固有の電子・光学センサーがあるから大丈夫だという。そうであれば世界中そうしているが、していない。このような「機密」は平気で口外する。
そして筆者があちこちでこのRWSについて書いたせいか、このRWSを装備した護衛艦しらぬいの一般公開ではRWSの説明板に仰俯角が明記してあった。つまりは思いつきで「秘密」とか「情報開示」を決めているのだ。
▲写真 RWS搭載護衛艦しらぬい進水式(2017年10月12日 三菱重工長崎造船所) 出典:海上自衛隊ホームページ
つまり海幕も装備庁もできるだけ隠せばいいと考えているので、本来何が核心的な機密であるか理解できていない。海幕は護衛艦の最高速度は30ノット以上必要だと主張する。筆者は山村浩海幕長の記者会見で質問したがこれもまた「相手に手の内を教えることになる」といって明言を避けた。だが、本来このような原理原則は機密たりえない。
▲写真 山村浩海幕長 出典:海上自衛隊ホームページ
30ノットを超えるためには大きなタービンエンジンを搭載し、一万円札を燃やしながら走るぐらい効率が悪い。28ノットを超えるあたりから、艦艇の燃費効率は極めて悪くなる。第二次大戦中ならともかく、護衛艦が訓練でも実戦でも30ノット以上の高速で航行することは殆ど考えられない。
28ノット程度に抑えれば燃料費は何割も抑えられる。また建造費も大幅に安くなる。因みにいずも級は本来ディーゼルエンジンを発電機とする統合電機推進と二重反転方式のポッド型を採用するはずだった。これであれば最大速度30ノットでもライフ・サイクル・コスト(35年)で燃料費は340億円(35年間)安くなるはずだった。
これが28ノットであれば、更に何割も燃料費は節約できたはずだ。実際に新鋭イージス艦のまや級は以前のイージス艦の半分しかエンジンを搭載していない。機関出力は以前のイージス艦の7割弱である。対して排水量はこんごう級より約千トン、1.13倍増えている。あたご級の実質的な最高速度は30ノット弱だろう。
▲写真 イージス艦まや 出典:海上自衛隊ホームページ
海自はこれまでの主張を軌道修正し始めているのだが、だんまりを決め込んでいる。これでは無責任に戦争始めておいて、無能故にボロ負けした旧帝国陸海軍と同じである。彼らは「民間人や政治家が軍事について知る必要はない。我々プロにまかせておけ」と情報を独り占めした。その結果がさきの大東亜戦争での惨敗である。軍隊に限らずどんな組織も外部の監視の目がないと独断専行し、また腐敗していく。
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