防衛省秘密主義、元凶は記者クラブ
Japan In-depth / 2021年5月24日 13時7分
海自は現用のSH-60K哨戒ヘリを救難ヘリに転用する。このため哨戒装備を外して救難装備を搭載し、硫黄島でも運用可能なように機内に増槽も搭載する。だがこれまた「敵に手の内を晒せない」と拒否している。
▲写真 SH-60K哨戒ヘリ 出典:海上自衛隊ホームページ
対して同盟軍の米軍は救難ヘリの仕様や能力を隠していない。実際に筆者も最新鋭の米空軍の救難ヘリを何度も取材して聞いている話が、自衛隊では「秘密」扱いだ。例えば筆者がかつて日本特派員を務めていたJane’s Defence WeeklyやDefence Newsなどの海外軍事専門メディアではこれらの情報が開示されている。防衛省や自衛隊の幹部らはこのような専門メディアすら読んでいないのだろうか。
「軍機」を理由に「政治家、民間人は知る必要なし」という「軍隊」は実は弱い。それは外部からのチェック機能が働かないからだ。結果、軍事的な合理性や、コスト意識とはかけ離れた内輪の都合のいい話を作ったり、組織防衛に励むからだ。自衛隊のいう「敵に手の内を晒さない」という「敵」は国会や納税者のことではないか。
同盟国の米国防総省、米軍が開示しているレベルの情報を開示できていない。軍事機密の開示はしないにしても、できるだけ最大限に納税者に情報を公開するのが民主国家の軍隊のあり方だ。防衛費の使い方の基礎になる情報が開示されなければ神学論争になってしまう。事実我が国ではそうなっており、合理的な議論が国会やメディアでも戦わされていない。だから日本の防衛論議はイデオロギー的で不毛になる。
このような悪しき防衛省、自衛隊の秘密主義は「記者クラブ」が共犯である。記者クラブはどの役所にも存在するが、防衛省の場合は防衛記者会(クラブ)だ。実は防衛省の記者会見は防衛記者会が主催している。記者クラブは新聞、テレビ、通信社などが加盟しているが、週刊誌などの他の媒体やフリーランスの記者を排除している。筆者はドイツの専門誌の記者の肩書で、外務省のプレスパスを取得して参加している。
▲写真 防衛省(東京・市ヶ谷本町) 出典:Junko Kimura/Getty Images
記者クラブは非記者クラブメディアやフリーランスを排除して取材機会を独占することによって利益を得ている。これは報道におけるアパルトヘイト、人種差別であり、民主主義の敵である。特に専門記者を排除しているのは犯罪的だ。
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