防衛省秘密主義、元凶は記者クラブ
Japan In-depth / 2021年5月24日 13時7分
記者クラブは実は、一民間任意団体に過ぎない。つまりPTAや町内会、マンションの管理組合と同じようなものだ。その団体が報道関係者の代表を僭称して、防衛省という役所の記者会見を主催しているのだ。異様というほかはない。こんな国は他にはない。
防衛大臣記者会見の記録は防衛省のウェブサイトにテキストで公開され、ユーチューブでは画像が公開されている。だが記者クラブの記者は会見ではまともな質問をしない。記者会見後に行われる「ぶら下がり」とか「囲み」と呼ばれるオフレコの取材で情報を取る。
公開される大臣会見では大臣が困るような質問や恥を掻くような質問は基本しない。こうして防衛省側に恩を売るのだ。またそのような質問をすると後で、その記者あるいは会社だけ情報をもらえず、自社だけが報じられない「特オチ」を被ることがある。
これは一般の読者や視聴者には全く興味がないことだが、記者クラブメディアにとっては大きなマイナスとなる。筆者は記者クラブの人間ではないので、大臣が困ろうが自分が聞きたい質問をしている。海外の記者クラブではごく当然の質問しかしていない。
筆者は以前NHKの防衛省記者クラブキャップの鈴木徹也政治部記者(当時)からそのような質問をするなと恫喝された。防衛省と記者クラブの「良好な関係」を阻害するからだろう。
だが諸外国ではこのような「馴れ合い」や「忖度」は許されない。メディアには権力監視という役目があるからだ。だが現在の記者クラブ制は防衛省や自衛隊が発表したいことを発表する、まるでPR会社のようなシステムになっている。これは世界から「発表ジャーナリズム」と呼ばれて軽蔑されている。
そして記者クラブは当局と癒着している。防衛記者クラブの例では記者室のコピー機やコーヒーサーバーの管理は防衛省の職員がやっていた。記者クラブは防衛省職員を「お茶くみ」に使っていたのだ。
防衛省の人間が、一民間任意団体に役務を提供するのは問題ではないか、金品を渡すのと同じではないか。これは筆者の河野大臣(当時)に対する質問がきっかけで停止することとなった。
▲写真 記者会見する河野防衛相(当時/2020年9月15日 防衛省) 出典:防衛省ホームページ
同様に記者クラブは各幕僚監部との懇親会(忘年会や暑気払い)用としてビール券を予算に計上していた。これまた河野大臣(当時)にどのような形でもらったビール券を使っていたのか、癒着ではないのかと質問した。これは中々事務方から返事が来なく、何度も催促した結果、返事が来たのは本年1月27日だった。回答は以下の通りである。
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