防衛省秘密主義、元凶は記者クラブ
Japan In-depth / 2021年5月24日 13時7分
「各幕僚監部に確認したところ、防衛記者会からビール券を受領しており、同会との懇親会等で供する酒類の購入に使用していました。ただし、こうした懇親会では参加した各職員及び記者から別途会費等を徴収しており、受領したビール券の使用分も含め双方の負担が均等となるようにしていました。こうしたことから、本件については、自衛隊員倫理法に接触するものではなく特段問題が生ずるものではありませんが、国民から疑念を招くおそれがあることから、昨年5月、河野前防衛大臣から各幕僚監部に対し防衛記者会からのビール券を受領しないよう指示したところです」
何で回答を出すのが遅くなったのだろうか。この内容なら昨年5月に出せたはずだ。これらの宴会は省内の会議室などで行われ、各駐屯地や基地から送られてきた物産や酒などが提供されており、昔は、記者は無料のご招待、接待だった。現在は形ばかり千円ほど払っている。それでもお得だ。取材される側とする側の癒着である。
件のビール券は金券であり、各幕僚監部の裏金に使用されていた、と疑われても仕方あるまい。回答が遅れたのもその疑惑を深めている。更に昔から事務次官以下、局長クラス、幕僚長は長年記者クラブメディアから赤坂や銀座などで接待を受けてきた。こういう癒着関係で「権力の監視」ができるのか。そもそも問題がないならば続けて良かっただろう。
そして記者クラブの記者の質にも問題がある。多くの記者は軍事に興味も専門知識もない。新聞やテレビの記者は一部の専門記者を除き、多くは専門分野がなく、経済部から社会部、芸能部など様々な分野を点々とする。いわゆるジェネラリスト志向だが、どの分野にも素人であるといえる。
防衛省担当というのは単に防衛省という役所の担当であるだけだ。海外の軍事動静に興味があるわけでも、海外での軍事に関する取材をしてきた実績があるわけでもない。知っているのは防衛省や自衛隊から聞く話だけだ。当然防衛に関しても大した知識がない。防衛関連の法令、装備や運用、諸外国の軍隊の実態も知らない者が多い。知識がないから洞察できず、興味も持っていない。記者会見で質問もせず、淡々とラップトップで大臣の発言を記録するだけの記者は多い。
彼らの多くは記者会室のある防衛省のA棟に滞在してネタ取りをする。足を使ってネタを拾おうとしないケースが多い。当然予算とか装備などの専門的なことがわからないし、興味も薄い。
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