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装輪ATVは空挺・島嶼防衛作戦に有用な21世紀の「ジープ」

Japan In-depth / 2021年6月19日 11時0分

ヨルダンの国営兵器工廠KADDBはヨルダン軍の要求によって軽戦術車輛、LTATV(軽戦術汎地形車輛)を開発した。これはドライ重量が850キロ、ペイーロードが250キロで、750キロのトレーラーなどを牽引できる。エンジンは27.2馬力のディーゼル・エンジンを使用しており、最高速度は60キロ、登坂力が60パーセント、航続距離が250キロとなっている。駆動は4×2と4×4の切り替えが可能だ。





後部は通常は荷台として使用するが、シートを装備すれば4名の兵員が搭乗できる。ナビゲーター・シートには機銃用のピントル・マウントが装備可能だ。特殊部隊用だが、歩兵部隊の兵站車輛などとしても提案されている。UAE(アラブ首長国連邦)やサウジアラビアなどでも独自のATVが開発されている。









▲写真 ヨルダンのKADDBが開発したLTATV(軽戦術汎地形車輛) 撮影:筆者





このように軍用ATVといっても多様なタイプが存在し、搭載量も大きく異なる。また駆動方式も内燃機関だけではなく電動も存在する。USSOCOMでは一部で電動式のATVを使用しているが、静粛性の面では大きな強みを持つが再充電に時間がかかり、また充電器などのインフラも必要なことから、使用可能な環境は限定的だろう。





ポラリス・ディフェンス社は電動TV、EV LSVを発表しているが、この種のATVは米軍が石油由来の燃料の削減に取り組んでおり、そのために基地内などで使用されるケースが増えている。EV LSVは30馬力のモーターを搭載し、最大速度は時速40.2 キロと低速に抑えられている。基地内での業務はこの程度で充分であるという。完全4輪駆動で、走行距離は80.4キロ、充電時間は8時間となっている。運転席と助手席に二人が搭乗し、後部のカーゴボックスのペイーロードは226.8キロで、567キロのトレーラーなどを牽引することができる。





現在世界的にカーボンニュートラルの動きが強まっており、軍用車両のEV化も今後格段に進む可能性もある。





軍用ATVは我が国の空挺部隊や特殊部隊、水陸機動団でも有用だろう。事実水機団では採用されている。ATVはまず軽量であり、C-130などの輸送機ならば、かなりの数が運べる。またオスプレイの機内に収容することも可能だ。無論大型輸送ヘリCH-47でも同様だ。機内に収容できれば、空気抵抗も少ないために懸吊輸送に較べてヘリやオスプレイの速度や航続距離の低下が少ない。更に軽量なので小型の汎用ヘリで懸吊空輸も可能だ。





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