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「ロシアは歴史的な選択ミスをしたというくらいに追い込まないと、侵略に対するペナルティにならない」慶応義塾大学総合政策学科神保謙教授インタビュー

Japan In-depth / 2022年7月4日 12時7分

安倍元首相への個人的な信頼から大変厳しい事は言っていないのですが、「フェアシェアがない」「NATOに対して2%しか使わないのはおかしい」等と言っていて、在日米軍駐留費に関しては何倍増といったことを言いかねない時期があった。日本政府は否定しましたが、ボルトンの回顧録でそのようなことが書いてあります。


同盟関係に対する同盟国のリスクとその責任への負担を、アメリカはこれまでよりも厳しい状態で推移するでしょう。これに応えられなければ、同盟の信頼性という基盤が弱くなる、ということで日本も相当意識するようになったと思います。


そのため日本が防衛費を増やすのは、日本の防衛を取り巻く環境が厳しくなっているだけではなく、そうしなければ同盟がちゃんと成り立たないのではという危機意識もある。この2点が大事ではないかと思います。


安倍:  そういった風に考えると、期せずして起きたこのウクライナの戦争というものは、日本を含めた世界全体の軍事的パワーバランス、地政学的なポジショニングが大きく変化するという意味で一つの号砲だったということも言えますね。


神保: そのとおりです。台湾も、ウクライナと同じような戦い方、つまりアメリカが直接戦わないで武器を支給する、という状態を続けられるか、ということを考えたと思います。


たぶん答えはYes、but…でしょう。台湾は安定した民主主義ですから、ウクライナ人ほどの人的犠牲を払うような状態だとはとても思えない。ですからウクライナよりも早期にギブアップする可能性があります。


そうなると、アメリカは比較的早期に台湾に軍事介入をしなければならない状態になると思います。


同様に日本が、自分たちがどれほどリスクを払うのか、つまり自衛隊員や日本国民がどの程度犠牲を強いられるのか、というところまで覚悟して防衛力整備というのを考えていくことが、アメリカを本気で関与させるためにはかなり重要な部分です。我々が全く知らない、何もしないという状態でアメリカに頼るだけであれば、こういった同盟関係はもう耐えられないだろう、というのは国民も徐々に感じている所かと。


■ ウクライナ戦争の落としどころ


安倍: ロシアのウクライナ侵攻問題について、東部を侵攻前に戻すと言うことが前提だと先ほどおっしゃっていましたが、更にたくさんの武器を送る必要がありますし、長期化は避けられないですね。


神保: 残念ながらそうだと思います。今このインタビューを受けている時点でですが、所謂東部のセベロドネツクという所で大攻防があって、ゼレンスキー大統領は、この戦いがドンバス地方の運命を決める戦いだと言っています。


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