「石原慎太郎さんとの私的な思い出6」続:身捨つるほどの祖国はありや21
Japan In-depth / 2022年8月9日 23時17分
牛島信(弁護士・小説家・元検事)
【まとめ】
・『「私」という男の生涯』(石原慎太郎著)を読んだ。
・「牛島さん、この世はね、所詮、男と女なんだよ」と一度ならず二度、三度と諭してくれた石原氏。
・石原氏は、最後に自分の過去をすべて抱きしめ、自分自身の死で最後の謎を解決し、遂に来世に旅立つ自分を実感することができたのだろうか。
「別れた女のことについて書くなんて、男のすることじゃないと思うよ。それってタブーだろ。第一、品がないじゃないか」
いつも石原慎太郎さんのことを「なんて格好いい人なんだろう。ダブルがとっても似合うよね」と、半ば崇拝するように言っている友人が、すこし興醒めしたように電話の向こうでつぶやいた。
『「私」という男の生涯』(石原慎太郎 幻冬舎 2022年刊)を読んだのである。
自らも、途方もない金持ちであった父親に中学入学の祝いとヨットを買ってもらい、湘南の或る場所に係留していたという経歴の持ち主である。
確かに私もそう思わないではなかった。
二人であれはないよね、と一致したのは、
過去に関係のあった女性が、「町で以前親しかった幼馴染と遭遇し求愛され、彼女は囲われ者でいるよりもその男との結婚をえらんでしまったのだった。」(8頁)と、石原さん自身が書いている女性との後日談である。
囲われ者というのも古めかしい表現だが、囲っていたのはもちろん石原さんである。
「別れてから二年ほどして人伝に二人だけで会いたいという連絡があり」(8頁)、石原さんはその女性と会ったのだという。
「夫が余所に女をつくって浮気を続けているのが分かったと泣きながら打ち明けてき、その憂さを晴らすためにもう一度私を抱いてくれと。」
それで石原さんは、「言われるままそれに従いはしたが、久し振りに抱いた相手の身体は薹が立ち、味気ないものでしかなかった。」(9頁)
友人は憤慨している。
「だって、その女性、たぶん未だ生きているんでしょう。あれはないよ。第一、石原さんは『私がリザーブしておいてホテルの部屋に彼女はやってきた』って書いてるじゃない。ホテルの部屋をとっていたってことは、初めから石原さんはそのつもりだったってことじゃないの。」
友人はどうにも我慢がならないらしい。
Yという「ホンコン生まれの女」と二人、東京駅にある喫茶店で話していたという石原さんには、苦笑を禁じえない。
ときおり喧嘩はしながらも親しくしていた女性だったという。男性との性関係も石原さんが初めてだったとある。(194頁)
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