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「平成28年の年賀状」団塊の世代の物語(1)

Japan In-depth / 2024年1月12日 11時18分

読書が趣味となって久しい。もっとも読書が趣味というのもおかしな話だとは思う。モームのように、本がないときには時刻表でも読んでいたいというのであればともかく、或る本を読み通すかどうかは中身次第なのだから、本一般を読むことが趣味なわけではないことは確かだからだ。





なんにせよ、小学生のころから読書癖はあったろうと思う。中学時代には、友人と活字中毒の程度を競っていた。





「いかなるゆえにわが心が悩むのか、わけもわからないままに焦りがこの胸を焼きます。」





ヴェルレーヌの詩、『都に雨の降るごとく』の意訳である。鈴木信一郎と堀口大学の翻訳の二種類があり、私が鈴木信一郎派であるのは昔『あの男の』(幻冬舎文庫)という小説に書いたことがある。胸を焼かれる思いの理由を知らないのが「悩みのうちの悩みなれ」と鈴木信太郎によって訳されている。男と女のさりげないやり取りの一部である。





「ふと気づくと、熱い自分の隣に冷ややかに立って眺めている男がもう一人います。」





この男はいつもいたのだろう。「もう一人」の自分を見ている自分。誰にでもいるのではないか。





私のなかの二人。一人は熱く、もう一人は冷ややか。仕事に精を出して金を稼ぐ一人。暮らしを立てるためである。もう一人は黙って深夜の書斎で文章を綴る。





覚えている、66歳になった年の1月だった。だから2016年のこと。





私は、突然に健康に不安を覚え、高校生以来となる定期的な運動をする決心をしたのだ。





実行したのは連休明けだったが、それが2024年の今も続いている。8年になるということだ。週に一日だったのがコロナのおかげで週に二日になって今に至っている。健康の秘訣である。





『団塊の世代の物語(1)』





小学校の同窓会だった。卒業して62年も経ってから、初めてのクラスの同窓会があった。それだけでも驚くべきニュースだが、64人いたクラスの9割近くは未だ生きているようだという。もっとも誰も正確に分かっているわけではない。連絡がとれない人も何人かいるらしい。女性だけでみれば9割を超える人数が生きていると聞いた。1947年から1949年までの3年間の団塊の世代の最後の年。3年間全部で800万人の団塊の世代の赤ん坊が生まれ、そのうち600万人がいま生きている。





私の卒業した小学校は広島市立の幟町小学校という。広島の中心部にあるから、東京でいえば千代田区の番町小学校といったところか。昔、東大に入るなら番町小学校、麹町中学、そして日比谷高校と言われていた時代があった。あの番町小学校である。





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