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団塊の世代の物語(9)

Japan In-depth / 2024年10月15日 23時0分

団塊の世代の物語(9)




牛島信(弁護士・小説家・元検事)





【まとめ】





・三津野と英子は、日本経済構造の変化を題材に企業経営や資本主義について議論する。





・バブル崩壊やグローバル化が日本企業に与えた影響について語り合い、日本経済の未来について展望する。





・企業ガバナンスや株主資本主義の導入など、現代の企業経営にアクティビストや海外資本などが与える影響について語る。





 





英子が大きくうなずいたのを見て、三津野は抑えつけていた自分の衝動を許してやることにした。そうなのだ、77歳の三津野と74歳の英子にとっては、今しなければ永遠にできなくなってしまうことなのだ、それで全てが終わってしまう。なにもかもが静寂の宇宙に吸い込まれて消滅してしまう。だから、それをするのは二人の欲望であり、実際の行動に手をつけるのは三津野の義務だった。





白い、いかにも高級な生地のダブルベッド用のシーツと厚手の毛布を右腕をつかって跳ねのけると、英子の胸をむきだしにして、そこへ顔をうずめた。





英子は動かない。





一瞬、三津野は英子の両方の乳房を見た。





そこには二つの小さくてピンクの乳首と、大きくてひろがった乳房があった。





「違うんだね」





「なにが?」





「ごめん。大木先生に聞いていたことがあってね。でも、人違いだったみたいだ。」





「なにのこと?」





「いや、済まない。





実は大木先生にむかし聞いていてね。





小学校のときのクラスの身体検査であなたの胸を見たっていう話なんだ。そのとき大木先生はあなたの胸だけを必死に見ていて、あなたの胸の乳輪が大きくて黒かったのがとっても印象に残ったらしいんだな。





そう教えてくれた。





だから僕はあなたの胸の乳首について、岩本英子さんはそうなんだとずっと思ってきた。たぶん50年間くらいかな。」





「ありがとう。





でも、大木先生のいったのは本当よ。それ、小学校のときの私の姿。





どうして女の子の方から覗いたのかって、不思議ね。





クラスの身体検査じゃなくって、クラスで2割くらいいた中学受験組だけの特別の身体検査だったの。それで、となりと衝立くらいしかないような部屋で上半身裸になって待ってたの。





男子が先だった。なにをしてるのかって、女子はのぞきこんだっていうわけ。一人じゃなくって6、7人はいたから、妙に勇気がでたっていうのか、まあそんなことができたのね。それに未だ12歳だし、胸がちいさいままの子もいたし。」





「でも、今は大きくも黒くもない」





「そう。私、子どものときから嫌だった。





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