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上向く海外事業の拡大意欲、対中国は様子見姿勢、ジェトロ「2023年度日本企業の海外展開調査」(世界、日本)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年2月14日 15時10分

ジェトロは2月14日、「2023年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」の結果を発表した。調査は2023年11月14日~12月18日、海外ビジネスに高い関心を有する日本企業(注)を対象に実施し、3,196社から回答を得た(うち中小企業2,712社)。

輸出や投資の拡大意欲に回復の兆し

2023年の輸出見通し(数量ベース)について、回答企業の約半数に当たる49.3%が2022年比で「増加する」と回答した。今後3カ年度で最も重視する輸出先については「米国」が20.9%で首位となり、比較可能な2016年以降で、「中国」(18.4%)を初めて上回った。2022年度と比較すると、飲食料品や商社・卸売り、機械などの業種で、最重要輸出先が中国から米国、インド、台湾などへ回答が分散した。最重要輸出先に「台湾」や「インド」を選ぶ企業の割合も、2021年度と比較してそれぞれ4.4%から7.1%へ、2.6%から6.1%へ増加し、サプライチェーンの多角化を図る傾向がみられる。

海外での事業拡大意欲については、既に海外拠点を持つ企業で「さらに拡大を図る」と回答した企業は47.4%と、過去最低の水準に低下した2022年度(43.5%)から、回復に転じている。今後の事業拡大先では、前年に続いて「米国」(28.1%)との回答が最多で、「ベトナム」(24.9%)、「中国」(22.6%)が続いた。ただし、大企業では「インド」(29.5%)がベトナムや米国を上回ってトップに浮上し、同国の市場規模や成長性への期待値の高さを示した。業種別では、電気機械、自動車・同部品、建設などでインドとの回答が最多となった。

対中ビジネス方針に関する設問では、中国で既存ビジネスの拡充や新規ビジネスを検討する企業の割合は33.9%と、同じ条件で比較可能な2013年12月以降で最低を記録した。一方、既存の中国ビジネスの規模を維持する企業(27.2%)は過去最大となった。半面、中国ビジネスの縮小や撤退を検討する企業はそれぞれ7.5%、1.3%で、両回答比率を合わせても1割未満にとどまった。

コスト対応、需要の変化、地政学リスクがサプライチェーン再編を加速

2023年以降、販売・調達・生産戦略で何らかの見直しを実施(進行中や今後1年以内の着手予定を含む)した企業は約7割に上り、「調達の見直し」を行ったとした企業は約3割だった。うち国内外の調達先の数の変化について聞いたところ、日本国内の調達で41.7%、海外からの調達は34.5%の企業が「増加」と回答した。国内外で調達先を増やす理由については、「コスト増への対応」「自社製品・サービスへの需要の変化」「地政学的リスクの回避」が上位になった。

海外からの取引先数を「増加」すると答えた企業のうち、調達先として今後注力・注目している国・地域としては、50.5%が「中国」と回答して最多だった。2位以下の「ベトナム」(30.0%)や「台湾」(19.8%)などを引き離し、調達先としての中国の注目度は突出して高い。中国の回答割合が特に高い業種は、電気機械、自動車・同部品、化学だった。

円安の進行が2023年の業績に与える影響について、「全体としてマイナス」「全体としてプラス」の影響があるとする回答比率はそれぞれ43.4%、17.0%で、「マイナス」の回答比率が「プラス」を上回った。ただし、「マイナス」の比率は前年調査(47.0%)から3.6ポイント減少した。また、望ましい為替レートは120~124円との回答が最多となり、110~114円が最多だった前年と比べ、長期化する円安への対応が進んでいるとみられる。

DXを筆頭に、ビジネス変革進む

デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組んでいる企業の割合は、2021年度の28.0%から、2022年度に33.5%、今回調査では36.7%と、2年連続で拡大した。DXに取り組む狙いについては、「現場の作業効率化や人手不足解消」(59.2%)、「顧客データ取得・分析による市場開拓」(56.6%)、「生産・在庫管理等サプライチェーン高度化」(45.6%)を挙げる企業が多かった。

人権尊重の取り組みをみると、自社の人権方針を策定している企業は全体で約3割の中、大企業(中堅企業を除く)では82.4%と高く、方針の策定・公開状況は企業規模による差が広がっている。ビジネスと人権を認識した(認識を強化した)きっかけについて、大企業では「サステナビリティー経営の重要性の理解」(45.7%)、中小企業では「メディアなどで見聞きすることが増えた」(28.9%)が首位だった。

脱炭素化への取り組みについては、大企業で取り組む企業が8割近くに達するが、中小企業では4割を下回っている。自社が直接排出する温室効果ガス(Scope1)の排出量削減方針を策定済み、策定予定の企業のうち、大企業では全体の7割近くが自社の温室効果ガス(GHG)総排出量を把握している。半面、中小企業では排出量の把握ができていない企業が約半数を占めた。

(注)ジェトロ会員企業およびジェトロサービスの利用実績のある日本企業(国内本社)、計9,384社を対象に実施。

(森詩織)

(世界、日本)

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