米スペースXの通信事業スターリンクが超高周波の電波使用認可を取得(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年3月22日 1時0分
米国連邦保通信委員会(FCC)は3月8日、米国航空宇宙企業スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX、本社:カリフォルニア州ホーソン)に対し、地球周回低軌道のブロードバンド衛星「スターリンク」の容量を向上させるため、超高周波のEバンド電波使用を条件付きで認可したと発表した。
今回認可されたのは、第2世代スターリンク衛星と地上ゲートウェイ(注)との間で、Eバンド帯とよばれる、周波数71~86ギガヘルツ(GHz)の電波の利用だ。スペースXは7,500機の第2世代スターリンク衛星で、これまで認可されていたKa帯とKu帯に加え、新たに宇宙から地球へは71~76GHz、地球から宇宙へは81~86GHzの周波数帯の通信が可能となる。同社が2023年にテクノロジーメディアの「アーズテクニカ」のインタビューに答えた内容によると、Eバンド帯の利用により、第2世代スターリンク衛星の容量は4倍になり、より多くの通信が可能になるとしている。なお、そのほかの2万2,488機の第2世代スターリンク衛星については、許認可の判断を延期するとしている。
スターリンクのような衛星通信は、海上や山間などを含め、地球上のほぼ全ての場所から通信が可能となる。空が広がっている限り、ネット未接続の地域に電波を届けられることから、災害などにも強いというメリットがある。日本の商船三井は、2023年に海上で試験的に運用したと発表しており、これまで通信が難しかった地域に対しても通信が可能となっていることを実証している(2023年6月7日記事参照)。
日本の通信企業のKDDIは、2023年8月にスターリンクと新たに業務提携を行うと発表している。KDDI傘下のauのスマートフォンが衛星と直接つながり、空が見える環境であれば、圏外であっても通信が可能なサービスを2024年内に提供開始予定としている。業務提携を行っていることもあり、KDDIはスペースXの日本法人であるスターリンクジャパンと協力し、石川県能登半島の避難所などに、スターリンクの受信装置を350台無償で提供したと、1月に発表した。
(注)スターリンク衛星からの通信を地上で中継する設備のこと。
(谷本皓哉)
(米国)
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