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北関東では女性が連れ去られ殺害される事件が相次いでいる 昼間でも日の射さない林道を歩く|八木澤高明

TABLO / 2018年8月11日 12時45分


 茨城県新治郡八郷町(現石岡市金指)の林道で、元美容師の八嶋美智子さん(22歳)の遺体が発見されたのは、1993年1月13日夕方のことだった。胸や首に15ヶ所の刺し傷があり、ほぼ全身の血が抜けていたことから、他の場所で殺害され、この場所に遺棄されたとみられている。

 今から25年ほど前の事件になるが、北関東で発生している連続女児殺害事件と同じように、未解決のままである。

 八嶋さんは自動車の免許を取得するために、殺害される1ヶ月ほど前に美容院を辞めて、自動車教習所に通っていた。遺体で発見される前日の1月12日午前10時半頃、自動車教習所を出るところを指導員に目撃されたのを最後に、それ以降の足取りはぷつりと途絶えた。

 警察は彼女が15ヶ所も刺されていたことから、当初怨恨による殺害を疑い、彼女の交友関係を重点的に調べ。十数名の男性が捜査線上にあがったというが、彼女の交友関係の中に犯人と結びつく人物はいなかった。その後、地元の暴走族などにも捜査対象を広げたが、やはり疑わしき人物は浮上しなかった。

 警察の捜査から見えてくるのは、彼女は、見ず知らずの人物に連れ去られた可能性が高いということだ。北関東で発生している連続女児殺害事件や埼玉県草加市で女子高生が連れ去られ、茨城県五霞町で遺体となって発見された事件など、女性が連れ去られ殺害される事件は後を絶たない。しかも未解決のままである。

 本事件の発生当時彼女が暮していたのは、茨城県結城郡石下町(現常総市大沢新田)で遺体となって発見された石岡市の現場からは、直線距離で10キロほど、車であれば30分もかからない距離にある。現場からは、乗用車や軽トラックのタイヤ跡、遺体が放置された斜面の三ヶ所からは平らな靴跡などが見つかっているが、犯人逮捕に結びつく決定的な証拠は見つからなかった。

 遺体発見現場を訪ねてみる。筑波山へと続くフルーツラインと名付けられた県道から一本入った林道の中にその現場はあった。林道の入り口で車を止めて、林道を歩いてみた。事件発生当時と様子は大して様子は変わっていない。雑木林に覆われた林道は昼間にもかかわらず、陽がほとんど刺さないこともあり、地面を踏みしめると、じめじめとした湿気を感じる。

 林道の周囲の林には、不法投棄された、瓶や家電製品が転がっている。よく見ると、女性もののセータが泥にまみれて捨てられていた。現場からは今も、犯罪の匂いがぷんぷんと漂ってくる。

 筑波大学女子大生殺害事件や無期懲役の判決が下されたが冤罪の可能性が高い今市女児殺害事件などの遺体発見現場も不法投棄が目立つ、人気のない林の中だった。同一犯とまでは言わずとも、似たような思考回路、生活スタイルの人間によるものに違いない。

 まるで粗大ゴミを捨てるように八嶋さんの遺体を遺棄した冷酷な犯人は今も、市井の人々の中にまみれているのだ。(取材・文◎八木澤高明)

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