出来は良かったけど残念な結果に!? 高評価ながら後が続かなかった車5選
くるまのニュース / 2020年4月22日 6時10分
高い評価を得たクルマが、必ずしも大ヒットするとは限りません。どんなに優れたクルマでもユーザーに響かなければ、販売台数増にはつながらないということです。そこで、高評価だったものの一代で消滅してしまったモデル5車種をピックアップして紹介します。
■がんばったのに大ヒットには至らず!?
どんなに優れたクルマであっても必ずしもヒット作にはならないのが、新型車開発の難しいところです。
性能やコンセプトが高い評価を得ていても、それがユーザーに響かなければ、販売にはつながりません。
そこで、高評価だったものの一代で消滅してしまったモデルを、5車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ「アルテッツァ」
FRの小型スポーツセダンとして大いに話題となった「アルテッツァ」(画像はイギリス仕様のレクサス「IS」)
稀代の名車トヨタ「AE86型 カローラレビン/スプリンタートレノ」の再来との声もあった「アルテッツァ」は、1998年に発売されました。
FRという駆動方式に加え、スポーティなスタイリング、6速MTが設定されたことなどにより、大いに話題となります。
発売当初のグレード構成は、「RS200」と「AS200」のふたつを基本とし、RS200はスポーティ路線、AS200はジェントルな乗り味とされていました。
ボディサイズは、全長4400mm×全幅1720mm×全高1410mm、ホイールベース2670mmと、同じくFRセダンの「マークII」と比べてもコンパクトです。
搭載されたエンジンは、RS200が2リッター直列4気筒で最高出力は210馬力(ATは200馬力)。AS200には160馬力を発生する2リッター直列6気筒が搭載され、トランスミッションは、RS200では6速MTと5速ATが選択できましたが、AS200は4速ATのみを設定。
アルテッツァは小型FR車が復活するということで前評判が高く、発売されると各メディアからも高い評価を受けました。
しかし、初動の販売台数は好調だったものの、待ち望んでいたユーザーにいきわたると販売台数は落ち着いてしまいます。
また、ステーションワゴンの「アルテッツァ ジータ」も投入されましたが、大きく販売台数を伸ばせず、2005年に生産を終了。後継車はシャシを一新したレクサス「IS」で、プレミアムセダンへコンセプトが変更されました。
●三菱「FTO」
コーナリングマシンとして高い評価を得た「FTO」
1994年に発売された2ドアFFクーペの三菱「FTO」は「GTO」の弟分的なポジションで、スタイリッシュなルックスが話題となったモデルです。
しかし、ボディサイズは全長4365mm×全幅1735mm×全高1300mmと、実際にはGTOよりもだいぶ小ぶりになっていました。
搭載されたエンジンは、1.8リッター直列4気筒と、2リッターV型6気筒がラインナップされ、トップグレードには三菱が独自に開発した可変バルブタイミングリフト機構の「MIVEC」が採用されたことで最高出力200馬力を発揮します。
トランスミッションは5速MTのほかに、日本初のマニュアルモード付き4速AT(後に5速AT)「INVECS-II」を設定。ドライビングの癖を記憶する学習機能を装備するなどの高機能さが評判となり、スポーティなモデルながらもAT車が人気となります。
また、サスペンションはフロントにストラット式、リアにマルチリンク式が採用され、国産FF車のなかでも最高の運動性能と高く評価されました。
しかし、当時の日本市場では2ドアクーペのニーズが極端に少なく、販売台数は徐々に低下。2000年には、GTOとともに販売を終了することになりした。
●ホンダ「CR-Z」
ハイブリッドカーながらスポーティな走りを実現しようとした「CR-Z」
2010年に発売されたホンダ「CR-Z」は、全長4080mm×全幅1740mm×全高1395mmと、コンパクトな3ドアハッチバックのハイブリッド専用車です。
環境性能が優先されるハイブリッド車であっても、ドライビングプレジャーを強調したモデルという、これまでに無いコンセプトで開発されました。
パワーユニットは114馬力の1.5リッター直列4気筒エンジンに、14馬力のアシスト用モーターひとつを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載し、駆動方式はFFのみです。
トランスミッションはCVTまたは6速MTが設定され、10・15モード燃費はCVT車が25km/L、MT車が22.5km/Lを達成しています。
そして、2012年のマイナーチェンジでエンジンを120馬力(MT車)、モーターを20馬力と出力の向上がおこなわれ、同時に、ハンドルに装備されたボタンを押して、アクセルを少し踏み足すことで力強い加速を瞬時に得られる「PLUS SPORTシステム」が搭載されました。
デビュー当初はCR-Zという車名やスタイルから、往年のライトウエイトスポーツカー「CR-X」の再来と期待され、実際に評価も高かったもののCR-Xほどの運動性能は得られておらず、人気は低迷。
2016年に生産を終了し、後継車はありませんでした。
■志が高かった2台のコンパクトカーとは
●ダイハツ「ソニカ」
ほかには無い軽スペシャリティカーを目指した「ソニカ」
2006年に発売されたダイハツ「ソニカ」は、優れたデザインと静粛性、走行性能を追求したモデルです。
若いカップルをターゲットとして開発され、搭載されたエンジンは最高出力64馬力を発揮する660cc直列3気筒ターボで、余裕ある走りを実現します。
当時はすでにトールワゴンが主流となっていましたが、1470mmに抑えられた低い全高によるスタイリッシュなフォルムも斬新でした。
また、ボディの各所に風切り音やロードノイズを低減させる技術を採用し、静粛性を向上。
さらに、ドアの解錠や施錠、エンジンの始動と停止が可能なキーフリーシステムや、一部グレードには花粉除去モード付きのオートエアコン、セキュリティアラームが採用されるなど、まさに軽自動車のスペシャリティカーを目指した仕様です。
しかし、品質は高く評価されていたものの、ソニカの販売は低迷。発売からわずか3年後の2009年に販売を終了し、後継車はありませんでした。
●トヨタ「iQ」
トヨタが持てる技術が余すことなく投入された「iQ」
スマート「フォーツー」や、スズキ「ツイン」のような「マイクロカー」は2シーターのためユーザーが限られていましたが、トヨタは、マイクロカーながらも4シーターとした「iQ」を2008年に発売します。
ボディサイズは全長2985mm×全幅1680mm×全高1500mmと、全長は軽自動車よりも400mm以上も短く、このなかに4つのシートを収めるために高い技術力が注ぎ込まれました。
具体的にはiQ専用に設計されたトランスミッションによって、フロントタイヤをエンジンよりも前方に配置し、エアコンユニットも専用の小型モデルを開発したことで助手席足元の空間を確保。
さらに、床下に燃料タンクを格納し、運転席と助手席のシートバックを極力薄型化することでリアの空間を確保して4シーター化を実現しました。
これほどまでコンパクトな4人乗りモデルでは、衝突安全性の確保が懸念されますが、追突事故の際に後席の乗員を保護する世界初の「リヤウインドウカーテンシールドエアバッグ」を全車に標準装備するなど、iQにはトヨタの技術の粋が集められています。
そしてiQのパッケージングは国内外で高く評価されましたが、快適に乗れる限界は大人3人と子ども1人だったようで、短距離移動では軽自動車の存在を超えることができませんでした。
すでにマイクロカーの人気が高かった欧州では売れましたが、日本ではヒットしたとはいえず、2016年に一代限りで生産を終了しました。
※ ※ ※
今回、紹介した5車種は、どれもコンセプトが明確で、個性的なモデルばかりです。しかし、なかには個性をあまり好まないユーザーも存在します。
大ヒットしたクルマの多くは、奇をてらったようなデザインではなく、変化を最小限に留めようとしている印象がありますが、一方で、ユーザーの嗜好は時代によって変化するため、クルマも合わせて変わらなくてはならず、メーカーにとっては難しい選択を迫られることになるのです。
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