「若者の車離れって本当?」 リアルな声で見えた原因と新しい車との付き合い方とは
くるまのニュース / 2020年5月25日 17時10分
「最近の若者はクルマに興味がない」といわれてはや10年近く。現在の若い世代の人たちは、クルマを所有したがらない、そもそもクルマにそれほど興味を示していないともいわれています。果たして若い世代にとって、クルマはどういった存在なのでしょうか。そこで今回は、実際の若者の声を紹介します。
■若い世代の約3割がクルマに必要性を感じていない!?
クルマに関連する話でよく出てくるのが「若者のクルマ離れ」。何年も前から続いているといわれていますが、果たして実際の若者は本当にクルマに対する興味がないのでしょうか。それとも、興味はあるもののただ単に買わないだけなのでしょうか。
まずは、具体的なデータで現状を把握してみます。
自動車保険大手のソニー損保が毎年実施している「2020年度 新成人のカーライフ意識調査(有効回答1000人)」によると、新成人の56.4%が普通自動車運転免許を取得済みです。ちなみに、AT限定が36.1%で、MT可の普通免許が20.3%という内訳となります。
また教習所に現在通っている人(AT限定3%、MT可の普通免許0.6%)や、いずれ免許を取得しようと考えている人(22.5%)を含めると、約82.5%の人が免許を取得する計算になります。
しかし、内閣府が発表する「主要耐久消費財等の普及・保有状況」によると、運転免許保有者のうちの自動車保有率は、29歳以下は57.5%となっていますが、30代の77.6%、40代の79.8%と比べると低い水準です。
前出の「2020年度 新成人のカーライフ意識調査」によると、クルマを所有しない理由のトップは「購入費用を負担に感じる」(50.9%)や「燃料代や修理費など維持費がかかる」(33.8%)など経済的な問題が上位にランクインする結果です。
しかし、気になるのが「移動手段が充実しているので、クルマに乗る必要性がない」(31.1%)という部分。これは暗に「日常の必要性以外の部分でクルマが魅力的に感じられない」という側面もあるかもしれません。
現在の若者は「草食系」と呼ばれ、あまり感情の起伏が少ないともいわれます。30代以上の世代が夢中になった恋愛に対しても、結構クールでドライ。
「必死に働いて背伸びしていいクルマを買って女性にモテたい」なんて意識は、時代遅れになってしまったようです。
それでも、クルマへの憧れは持ち続けて欲しい世代である筆者(金田ケイスケ)は、現在の若い世代の人々に直接「実際、クルマってどうなの?」という質問を聞いてみました。
そこで急遽、20代の若い世代にいくつか質問をぶつけてみて、その回答が以下になります。
・「マイカーは欲しいけど、最近のクルマは高過ぎて手が出ない。維持費も高いし」(東京都・R.Kさん・20代男性)
・「家のクルマを共有しているので十分足りている。高級車は修理代も高そうなので、自分で運転したくない」(宮城県・J.Nさん・20代女性)
・「就活に必要かと思い免許を取得。でも電車とか公共の交通機関のほうが時間も見えて便利。駐車場を探すのも大変」(大阪府・A.Nさん・20代女性)
こういった具合で、否定的な意見も多く聞かれました。やはり「2020年度 新成人のカーライフ意識調査」の通り、1番の理由は経済的な負担が大きいといえそうです。
また、30代以上の世代にとって、もっとも衝撃的な意見だったのは、恋愛におけるクルマの貢献度が極端に下がってきていることでしょう。
・「クルマはあったら便利だけど、デートには使いにくい。自分が飲めないし、運転も下手だし。いざとなればレンタカーで十分」(東京都・S.Tさん・20代男性)
・「クルマで迎えにきてもらえたら嬉しいけど、なくても大丈夫です。スポーツカーとかは乗るのが恥ずかしい部分もあります」(神奈川県・Y.Sさん・20代女性)
・「デートは電車利用でも大丈夫です。移動中はお互いスマホでいろいろチェックしたいし」(神奈川県・S.Mさん・20代男性)
もちろん、現在でも頑張って憧れのクルマに乗りたいと考える人もなかにはいて、ひと昔前は高級車やスポーツカーといえばみんなの憧れでしたが、現在の若い世代の人にとってはあまり目立つことを好まない場合も多いようです。
またスマホ万能の時代にあって、リスクもあるリアルな運転より、自分には被害の及ばない動画で満足してしまう傾向もあると推測できます。
■クルマは「あったら便利だけど、マストじゃない」って本当?
クルマは、最新の技術を取り込みながら性能を進化させてきました。また安全装備の充実などもあって、 以前より高額なプライスが付いているのは事実です。さらに各種税金や保険料、燃料費に駐車場費用など維持費も多くかかります。
そこで最近、注目されはじめているのが「サブスクリプション」と呼ばれるもの。簡単にいえば「サブスクリプションサービスを展開する会社と好きなクルマを契約して、長期間(自分のクルマのように)利用する」制度です。
同じような内容で「カーリース」がありますが、「サブスクリプション」では、保険料や整備費用などがコミコミになっているのがポイント。また期間も1か月単位から選べるようになっているようです。
最近はカーシェアサービスも注目を集めている
ほかにも「カーシェアリング」もありますが、こちらは会費制で特定のクルマを共同所有して利用するシステムです。たいていの「カーシェアリング」は燃料費込み、しかも使用した時間(15分単位)ごとの精算なので短期的な利用には最適。
しかし、利用したい期間が被ってしまったり、事前に予約しないといけないなどの不便さもあります。
昔からある「レンタカー」も、以前より低価格路線が定着し安定した需要があります。その名の通り、一定時間(半日や1日ごとなど)クルマをレンタルするものですが、乗りたいクラスは選べても車種は選べないのが残念なポイント。
また必ずしも最新モデルが用意されているとはいえず、燃料代なども自分持ちです。
以上を踏まえると、最近各メーカーが力を入れている「サブスクリプション」は(実際にクルマを購入するのに比べて)比較的手頃にマイカー気分が味わえる賢い選択といえそうです。
何より最新の、自分が乗りたいクルマを好きなときに乗れるのですから、1度試してみる価値はありそうです。
※ ※ ※
確かにクルマは、若い世代の人にとって以前ほど魅力的な存在ではなくなっているのかもしれません。限られた大切なお金をほかに使いたい気持ちもわかります。
でも1度クルマを所有すると、その満足度と喜び、単なる移動手段以上の魅力をヒシヒシと感じることができます。ぜひ若い世代の人にこそ、自分にあった購入方法でクルマを所有して、乗ってみていただければと思います。
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