さすがに手を抜きすぎでしょ! 安易な発想でつくられた車3選
くるまのニュース / 2020年6月5日 16時10分
新型車の開発には莫大な時間と費用がかかるため、メーカーがコスト削減にまい進するのは当然の行為です。しかしかつては、かなり安直につくられたとしか思えないようなクルマも存在。そこで、安易な発想でつくられたようなクルマを3車種ピックアップして紹介します。
■さすがに安易でしょ! と、思われたクルマを振り返る
新型車を開発するには時間、労力、そして費用が莫大にかかります。そのため、各メーカーは知恵を絞って開発コストの削減に取り組んでいます。
一方で、単純なコスト削減が理由ではなくとも、かなり安直につくられたようなクルマも存在。
そこで、安易な発想でつくったと思われても仕方がないクルマを、3車種ピックアップして紹介します。
●スバル「ドミンゴ」
さすがにアンダーパワーは否めなかった「ドミンゴ」(画像は2代目)
スバルは2018年に「エクシーガ クロスオーバー7」の生産を終えたため、現在、国内市場で3列シート車の販売から撤退していますが、かつて軽自動車ベースの7人乗りワンボックスワゴンをつくっていたことがあります。
ミニバンが登場する前は、3列シートの多人数車といえばワンボックスタイプが主流で、各メーカーは商用車であるワンボックスバンをベースに乗用車化するのが一般的でした。
そこでスバルは、これを軽ワンボックスワゴンに手を加えてつくろうと考え、1983年に発売されたのが「ドミンゴ」です。
4人乗りの軽ワンボックスワゴン「サンバートライ」の荷室に3列目シートを載せ、フロント部分のデザインを変えて全長を伸ばし、1リッターエンジンをリアに搭載するRRとなっていました。
ドミンゴは商業的にも成功し、1994年には2代目も発売。海外にも輸出されていたので、軽自動車をベースとしながらもグローバルカーとなったのです。
しかし、1リッター(後に1.2リッターに換装)エンジンで最大7名乗車はパワー不足で、ブレーキの性能も十分とはいえませんでした。
この手法は他メーカーでもおこなわれ、ダイハツ「アトレー7」、スズキ「エブリイランディ」、三菱「タウンボックスワイド」などがありましたが、現在はどのモデルも販売を終了しています。
●ホンダ「インテグラSJ」
存在理由がよくわからなかった「インテグラSJ」
かつて、ホンダのスポーティカーとして人気を博した「インテグラ」ですが、1996年に発売された「インテグラSJ」は、安易にインテグラの名を冠したモデルだったため、いまでは稀代の迷車として知られています。
インテグラSJは同時期に販売されていた「シビックフェリオ」をベースとし、ボディパネルの多くはシビックフェリオから流用されていました。さらにフロントマスクは、ステーションワゴンの「オルティア」から流用するなど、かなりのコスト削減策がとられています。
エンジンは1.5リッター直列4気筒のみで、VTECとスタンダードの2種類をラインナップ。トランスミッションは5速MTとCVT、4速ATが設定されました。
インテグラSJのコンセプトは「フォーマルなセダン」でしたが、とにかく中途半端な印象しかありません。
実際は、当時の販売チャネル「ベルノ店」が販売するラインナップの隙間を埋める目的でつくられましたが、シビックフェリオの存在があったためインテグラSJの販売は低迷し、2001年に販売を終了。
いまではホンダ車のなかで、トップクラスのレア車です。
■なぜスカイラインを名乗ったのか!?
●日産「スカイライン クロスオーバー」
いまならもっと売れていたかもしれない「スカイライン クロスオーバー」
日産「スカイライン」は誕生から現在まで、同社を代表するグランツーリスモとして歴史を刻んできました。
そんなGTカーのイメージが強いスカイラインの名を、なぜかSUVに付けてしまったクルマが「スカイライン クロスオーバー」です。
スカイライン クロスオーバーは、12代目スカイラインの派生車として2009年に登場。
外観のデザインはセダンのスカイラインをイメージさせるフロントマスクに、クーペスタイルのフォルムとなっています。
エンジンは330馬力を誇る3.7リッターV型6気筒エンジンを搭載し、駆動方式はFRもしくは4WDが設定されていました。
ラグジュアリークーペとSUVの融合というコンセプトのスカイライン クロスオーバーは、もともとは海外市場に投入されていたインフィニティ「EX37」として開発されたモデルです。
これを国内向けに仕立て、スカイラインの名前を冠したのですが、旧来からのスカイラインファンからは「なぜスカイラインなのか?」と、疑問視されてしまいました。
その後、スカイライン クロスオーバーは2016年に生産を終了し、この1代限りで後継車はありません。
※ ※ ※
売れているクルマに他メーカーが追従することは、以前からおこなわれており、近年ではSUVが顕著な例で、各メーカーから続々と新型車がデビューしました。
さらに、SUVを模した外観のクルマも増え、人気となっています。
現在のSUVブームもいつかは終わるのかもしれませんが、この潮流にメーカーが乗るのは当然のことだと理解はできます。
しかし、かつてのRVブームも現在と同様に安易にSUV風に仕立てられたクルマが乱立し、失敗した経緯があるため、同じ轍を踏まないことを祈るばかりです。
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