なぜマツダ「ロードスター」は世界で愛される? 4代目ND型に詰め込まれた想いとは
くるまのニュース / 2020年7月18日 11時10分
現行モデルで4代目となるマツダ「ロードスター」。ND型と呼ばれるモデルは2015年に登場しました。4代目ロードスターは、どのようなモデルなのでしょうか。
■世界3都市で同時に初披露された4代目ロードスター
1989年に初代モデルが登場したマツダ「ロードスター」は、世界中で愛されるライトウェイト2シーターオープンカーです。
2シーターの小型オープンスポーツカーの累計生産台数のギネス記録を持っており、その記録を更新し続けています。
現行型の4代目ロードスター(ND型)は2015年5月に発売されていますが、開発が検討され始めたのは2012年のことでした。
同年5月には、フィアットとの協業プログラムが発表され、次期型(4代目)ロードスターのFRアーキテクチャをベースに、フィアットグループ向け車両がマツダの本社工場(広島)で生産されることが明らかにされています。
その後、2014年のニューヨーク国際オートショーで、4代目ロードスターが採用するSKYACTIVシャシが初披露されます。
SKYACTIV(スカイアクティブ)とは、2010年に発表されたマツダの新世代技術のことで、エンジンやトランスミッション、ボディやシャシなど、自動車を構成する要素技術を包括的かつ同時に刷新することで、車両全体の最適化を図るというものでした。
そして2014年9月4日に、新型ロードスターが世界初公開されました。ロードスターファンが見守るなか、日本、アメリカ、スペインで同時公開。すべて同じタイミングで公開されたため、アメリカは9月3日の18時、スペインでは9月4日の深夜3時という時間にもかかわらず、多くのファンが集まるなかでアンベールされたのです。
こうしてデビューを果たした4代目ロードスターは、ライトウェイト2シーターオープンカーの原点に立ち返り、全長は3915mmと歴代史上もっとも短くコンパクトに、安全装備の兼ね合いなどで重くなる一方だった車重も、先代に対して100kgを超える大幅な軽量化を実現しています。
搭載されるエンジンも、歴代ロードスター初の1.5リッターエンジンが搭載されましたが、これも軽快な走りをスポイルしたくないという想いから採用されたものです。
海外仕様のソフトトップモデルにはパワフルな2リッターエンジン搭載モデルも設定されており、日本導入の噂も幾度となく立ち上がりましたが、頑なに日本に導入されていないのも、軽快さを重視するからだといいます。
外観は、マツダの新たなデザインテーマである「魂動デザイン」を採用し、ロードスターらしさは残しながら、よりスポーツカーらしい機敏な動きを思わせるシャープなデザインとなりました。
とくに低く構えるように見えるフロント部分にはこだわりが詰まっており、それを実現させるために小型軽量な4灯LEDヘッドライトを採用したほか、エンジン搭載位置も先代から13mm低く、15mm後方にしているほどなのです。
■リトラクタブルハードトップモデルも登場
2012年に発表されたフィアットグループとの協業プログラムですが、2015年にフィアット「124スパイダー」としてリリースされました。
プラットフォームや一部の内装などは共通ですが、エンジンはフィアット独自の1.4リッターツインエアエンジンが搭載され、足回りの味付けなどもフィアット仕込みとなっています。
マツダ「ロードスターRF」
そして2016年には、よりスポーティなアバルト「124スパイダー」が登場。こちらは日本でも正規販売されましたが、2020年中に販売を終了することがアナウンスされています。
2016年12月には、先代モデルにも採用されたリトラクタブルハードトップモデルの「RF」が追加されます。しかし、RFはフルオープンだった先代モデルとは異なり、ファストバックスタイルを持つタルガトップです。
搭載するエンジンも2リッターのみで、ソフトトップ車が軽快さを売りにするのに対し、RFは落ち着いた雰囲気を持つ大人のファストバッククーペというキャラクターとなっており、若かりし頃に初代ロードスターを乗っていたユーザーが戻ってきても似合うモデルといえるかもしれません。
2018年6月の商品改良では、RFに搭載された2リッターエンジンに大幅改良を施し、26馬力もの出力アップを実現。また、全回転域でトルクアップを実現したほか、最高回転数を6800回転から7500回転へ引き上げ、自然吸気エンジンらしい伸び感を実現しています。
またこの改良で、歴代ロードスター初となるテレスコピックステアリングを採用。同時に先進安全装備も内容を充実させ、時代に即したスポーツカーとしての改良が続けられています。
そしてロードスター誕生30周年となる2019年には、「ロードスター30周年記念車」をリリース。世界3000台限定となるこのモデルは、ソフトトップ車とRFをそれぞれベースとし、RAYS社製の鍛造アルミホイールやビルシュタイン製ダンパー(MT車のみ)、ブレンボ製フロントキャリパー、レカロ製シートなどを備え、専用外板色に「レーシングオレンジ」をまとったファン垂涎の1台となっていました。
日々たゆまぬ進化を続けるロードスターですが、4代目が登場して5年となり、そろそろ次期型の噂が聞こえるような時期となってきました。
とはいえ、短くても7年、長いものでは10年ものモデルライフを誇るロードスターだけに、実際のフルモデルチェンジはもう少し先になりそうですが、水面下では次期型へ向けての動きがある様子。
果たして次世代ロードスターがどんなモデルになるのか、いまから楽しみに待ちたいところです。
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