輸入車がステータスだった!? アメリカで生産された日本車3選
くるまのニュース / 2020年8月7日 16時10分
1980年代に日本とアメリカの間で貿易摩擦がありました。日本から大量にクルマや家電製品がアメリカに輸出されていたことで、アメリカ国内での失業増や、貿易赤字が拡大したためです。その打開策として、国内メーカーはアメリカで工場を設立し、現地生産を開始。そこで、アメリカで生産され日本に輸入されたクルマのなかから、イケてるモデルを3車種ピックアップして紹介します。
■アメリカで生まれた日本車を振り返る
かつて、日本とアメリカの間には貿易不均衡という問題がありました。なかでも1980年代には、自動車と家電製品が大量に日本からアメリカへ輸出されていたことで、貿易摩擦へと発展します。
品質の良い日本製品がアメリカで売れたことで、アメリカ製の製品が売れなくなり、失業者が増加。その結果、日本バッシングが激化し、不買運動や日本製品を破壊するデモも起きました。
そうした背景から、日本の自動車メーカーはアメリカに工場を建設し、現地の人を雇って生産を開始。貿易摩擦解消へと進み始めました。
さらに、アメリカ工場で生産したクルマを日本へと輸出することで、貿易不均衡の緩和も狙います。そこで、アメリカで生産された日本車のなかから、特徴的なモデルを3車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ「セプター」
日本には無かったスタイリッシュな大型ワゴンの「セプターワゴン」(画像は北米仕様)
トヨタがアメリカで販売しているクルマで、ベストセラーとなっているのが「RAV4」と「カムリ」です。
なかでもカムリは長らくトヨタを代表する車種として、常に高い人気を誇ってきました。いまは日本とアメリカで、同一車で販売されているカムリですが、かつて異なる車種として販売されていたことがあります。
それが1992年に日本で発売された「セプター」です。セプターはアメリカ市場ではカムリとして販売されていたモデルで、1984年からGMとの合弁で現地生産を開始した後、1988年にケンタッキー州に自社工場を建設し、北米版カムリの生産を開始。
そして、トヨタは北米カムリを日本でも販売しようとするも、すでに日本国内には国内専用モデルのカムリが存在していたため、セプターに車名を改められました。
ボディバリエーションはセダン、クーペ、ステーションワゴンをラインナップ。このうちセダンは日本で生産され、アメリカから輸入されたのはクーペとワゴンの2モデルです。
日本ではセプターワゴンがセダンやクーペにくらべて好調な販売を記録していました。
セプターワゴンのボディサイズは全長4820mm×全幅1770mm×全高1480mmと、当時の国産ステーションワゴンとくらべかなり大柄ですが、むしろアメリカ車そのもののイメージが好評だったようです。
搭載されたエンジンは2.2リッター直列4気筒と、3リッターV型6気筒の2種類で、トランスミッションは4速ATのみのFFです。
室内はFFの恩恵もあって広大な空間を誇り、乗車定員は3列シートの7名となっていましたが、3列目シートは荷室に格納されており、乗員は後ろ向きに座るレイアウトとなっています。
セプターシリーズは1996年に販売を終了。後継車はありませんでした。
●三菱「エクリプス」
流麗なフォルムのボディにハイパワーエンジンを搭載した「エクリプス」
現在、日本ではクーペの需要が低迷して久しいですが、アメリカも同様でクーペのラインナップが減少してしまいました。
かつてはアメリカではクーペの人気が非常に高く、1989年に北米専用モデルとして発売されたクーペが三菱「エクリプス」です。
エクリプスはクライスラーとの合弁で建設した工場で生産され、1990年には日本に左ハンドルのまま輸入、販売されました。
ボディサイズは全長4395mm×全幅1690mm×全高1320mmとコンパクトで、流麗でグラマラスなフォルムが特徴です。
シャシやエンジンは当時の「ギャラン」から流用されており、なかでもトップグレードの「GSR-4」は、200馬力を誇る直列4気筒ターボエンジンを搭載したフルタイム4WD車で、見た目にふさわしいスポーティな走りを実現。
1994年に2代目が登場してオープンモデルも導入されましたが、日本での販売は低迷したため、この代でいったん国内販売を終了しました。
2004年に左ハンドルのオープンモデル「エクリプス スパイダー」が発売されましたが、日本ではすでに2ドアモデルの需要は低迷していたため、2006年で販売終了となっています。
■アメリカナイズされたスタイリッシュなクーペとは
●ホンダ「アコードクーペ」
アメリカで企画され生産された「アコードクーペ」
ホンダは他メーカーに先駆けて海外生産をおこなっており、オートバイは1979年、クルマは1982年に、アメリカのオハイオ州メアリーズビル工場で生産を開始しています。クルマの現地生産第1号は2代目「アコード」でした。
その後、生産だけでなく企画やデザインもアメリカホンダでおこなうようになり、1988年に日本へ輸入され販売が開始された初代「アコードクーペ」は、まさに企画から現地でおこなったモデルです。
初代アコードクーペは3代目アコードセダンのシャシをベースに、アメリカ国内での嗜好にあわせてボディ形状や装備、足まわりなどがホンダの現地法人によって設計変更されています。
搭載されたエンジンは2リッター直列4気筒SOHCのみで、最高出力120馬力を発揮。トランスミッションは4速ATを設定し、スポーティな走りよりもクルージング性能を重視しています。
日本では国内モデルに存在しないクーペというボディ形状や、左ハンドル仕様なこと、前席シートベルトにはドアの開閉だけでベルトの着脱がおこなえる「パッシブシートベルト」の採用、BOSEサウンドシステムの装備など、アメリカらしさを感じさせる華やかなモデルでした。
その後1990年には2代目アコードクーペ、1994年には3代目が登場しましたが、4代目以降は日本での人気低迷もあって、販売されていません。
また、2018年には、北米でも7代目をもってアコードクーペは廃止されてしまいました。
※ ※ ※
現在、各メーカーとも海外生産が一般的になっており、国内で販売しているモデルも輸入車がいくつもあります。
今回紹介した3車種のような特別なモデルではなくなり、じつは輸入車だと知らないオーナーも多いのではないでしょうか。
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