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スマホ時代なのになぜ堅調!? 市販カーナビが右肩上がりで売れている理由とは?

くるまのニュース / 2020年9月19日 11時50分

スマホの無料カーナビアプリは、地図データも常に最新、目的地も音声で入力するだけという手軽さで人気だ。そんなスマホ全盛のこの時代だが、じつは市販カーナビも人気があるという。2020年に関してはコロナ禍で販売台数が落ちたものの、2019年までは右肩上がりで販売台数が伸びていた。なぜ市販カーナビはいまも人気があるのだろうか。

■市販カーナビでも10インチという大画面モデルが人気

「スマホがあるのにカーナビって本当に必要?」スマホで無料カーナビが使えるようになってから、そんな質問を受けることが多くなった。

 スマホでは「Googleマップ」や「Yahoo!カーナビ」といったナビアプリが誰でも無料で使えるし、オンラインで使えることで地図データは常に最新。目的地を探す時も、行きたい場所の施設名や住所を音声で入力すればいいし、交通情報も反映される。それを踏まえると、カーナビ不要論が出るのは自然の流れでもあるのだ。

 しかし、カーナビメーカーはいまも最新機種を登場させ続けている。2020年9月2日にも、パナソニックは有機ELディスプレイを採用した最新ストラーダを登場させたばかりで、噂ではパイオニアも新型モデルを準備していると聞く。

 パナソニックが調査したデータによれば、2020年は新型コロナの影響を受けて販売台数が落ちているものの、2019年まではむしろ少しずつ販売台数が増えていたという。しかも市販カーナビだけに限れば微増となっていた。

 カーナビはスマホの影響を受けるどころか、逆に販売台数が増える状況下にあったのだ。それはどこに要因があるのだろうか。

 総じていえるのは、カーナビにはスマホにはない使い勝手の良さと便利さがあるということだ。

 言わずもがな、カーナビ最大の役割は目的地までのルートを案内してくれることにあるわけで、その目的を果たすためにはスマホよりもカーナビのほうに優位性を見出している人が多いのだ。

 また、AVコンテンツを楽しむために画面サイズが大きいことや、DVDなどを再生するためのディスクドライブがあることもカーナビを選ぶ理由になっているといっていいだろう。

 ほかにもカーナビを選ぶ理由として、画面の大きさを上げる人が多い。カーナビは最低でも7インチあり、いまや純正では8インチ以上が常識となりつつある。

 市販ナビでも10インチモデルが人気を呼んでいる時代となり、5から6インチしかないスマホと比べれば、そのサイズの違いは圧倒的だ。大画面カーナビは存在感も大きく、ダッシュボードに取り付けた見栄えから選ぶ人も少なくないという。

 画面の大きさは、操作の面でも大きな効果をもたらす。画面上に表示されるソフトキーは、画面の大きさでそのサイズも変わり、当然ながら画面が小さいスマホはひとつひとつが小さく表示されてしまう。

 それによって、スイッチを押そうとしても上手くできないこともあり、これは結果として安全面にも影響を与えかねない。画面サイズが大きいカーナビは、ここでも優位性を発揮しているのだ。

■CD/DVDが再生できることが市販カーナビ最大のメリット!?

 カーナビの基本性能である測位精度でも、両者には大きな差がある。

 日本の道路事情は極めて複雑で、とくに都市部では狭い街区を縫うように道路が走り、そのなかには幾重にも道路が重なって建設されている。この状況下で正確に案内するには、相当な精度が求められるのはいうまでもない。

 しかし、スマホが測位するのは基本的にGPSのみで、当然ながらこの電波が途絶えれば正しい現在地は得られない。郊外ならば山間でもない限り、この電波はほぼロストしないが、都市部ではビル陰などで、この現象が頻繁に発生する。

このような高層ビルが立ち並ぶ場所では、GPSのみの測位になるスマホナビだと自車位置を正確に把握するのが難しいこのような高層ビルが立ち並ぶ場所では、GPSのみの測位になるスマホナビだと自車位置を正確に把握するのが難しい

 なかでもやっかいなのが、ビルに電波が反射して遅れて届くマルチパス現象だ。この影響を受けると、高精度化に貢献するといわれる準天頂衛星「みちびき」の電波を受信できても誤差は発生する。

 これに対してカーナビでは、車速パルスとジャイロセンサーを組み合わせることで現在地を測位し、大きな誤差を生んだときにGPSを使う。つまり、GPSだけで測位するスマホがこの影響から逃れることはできなのに対し、カーナビはGPS電波の乱れに影響を受けにくい、安定した測位が継続できることになる。

 さらに地図データの情報量も、カーナビとスマホでは大きく違う。カーナビは、道路の高低差を認識するためのデータや、目的地とした施設の入口情報といった詳細なデータを収録する。

 しかし、スマホではこれらの情報は収録していない。スマホで使う地図データは、通信で送ることを前提としているからで、トラフィックエラーが発生しないよう軽いデータで送っている。そこには道路の高低差を認識するデータが入っているはずもなく、地名や街区などの表記がカーナビ比べて希薄なのもそのためなのだ。

 一方で、目的地検索ではスマホに軍配が上がる。カーナビの多くが、いまだにメニューから階層を掘り下げていく方法を採るが、スマホならクラウドを経由して施設名や住所を音声入力するだけで、一発で対象を探すことができる。最近ではカーナビでもこの機能に対応し始めているが、その守備範囲はスマホにはまだ及ばない。

 この優位性を活かせるのがディスプレイオーディオだ。トヨタをはじめとして、このシステムを標準化する方向で動き始めており、そこにはスマホさえあれば車内の大画面ディスプレイでカーナビアプリが使える将来像が見える。

 ただ、CD/DVDが再生できないことが、商談の場でネックになっているという報告もある。

 じつはスズキが新型ハスラーで用意した純正カーナビは、スマホ連携を果たしたにもかかわらず、CD/DVDドライブを敢えて装備した。それは、その前に開発した純正品で、ディスクドライブレスとしたことでユーザーから猛反発をくらったことが要因だったという。パッケージメディアへのユーザーのこだわりは今もなお根強いのだ。

 これらの状況を踏まえると、CD/DVDドライブを備えた大画面カーナビへの需要は、今後しばらくは続いていくと予想する。スマホは何でもこなせるマルチパーパス能力に優れるが、ハード面でのスペックはどうにも対応のしようがないからだ。

 しかし、5Gが一般化して詳細なデータが日常的に送れるようになったとき、ディスプレイオーディオとの連携でそのニーズは多く変わっていく可能性は否定できない。スマホによるカーナビが使えるようになるきっかけとなるのも、5Gの普及にかかっているのかもしれない。

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