エコタイヤってなにが「エコ」? 履き替えるとどれぐらいおトクなのか
くるまのニュース / 2020年9月20日 11時50分
最近登場するサマータイヤはほとんどが「エコタイヤ」だというが、いったいエコタイヤってなんなのか。そこに明確な基準はあるのだろうか。またエコタイヤに履きかえるとどんなメリットがあるのだろうか。
■エコタイヤとは「低燃費タイヤ」のこと
カー用品店やタイヤ量販店の店頭で見かける「エコタイヤ」。各タイヤメーカーのさまざまなブランドから、さまざまなエコタイヤが販売されている。価格も高いものからベーシックなものまでさまざまだ。
ではエコタイヤとは、いったいどんなものなのか。
エコタイヤとは、ようするに「低燃費タイヤ」のことだ。
これはJATMA(ジャトマ。一般社団法人日本自動車タイヤ協会」が定めたグレーディングで、低燃費(=転がり抵抗性能)と安全性(=ウエットグリップ性能)が一定以上のレベルを満たしたタイヤのことをいう。
「タイヤ・グレーディング制度」は、日本では2010年から始まった。
店頭で売られているタイヤにシールが張ってあり、そこに「AA-b」「A-c」などと表記されているのを見たことのある人も多いだろう。これはタイヤラベリング制度といって、グレーディング(等級制度)に基づいた表示をおこなうことで、一般の消費者がタイヤの性能をひと目でわかるようにしているのだ。
ラベリング制度のなかで、大文字のアルファベットで表記されるのが、転がり抵抗性能になる。これはAAA、AA、A、B、Cの5段階で表記される。
小文字のアルファベットで表記されるのが、ウエットグリップ性能だ。a、b、c、dの4段階で表記される。転がり性能の等級がA以上(AAA、AA、A)で、かつウエットグリップ性能がaからdに入っているタイヤを「低燃費タイヤ」と呼んでいる。
つまり「A-a」「AA-c」など、大文字部分に「A」以上が記載されているものが低燃費タイヤになる。つまり低燃費タイヤ=エコタイヤには明確な基準があるのだ。
低燃費タイヤには「スタンダードエコタイヤ」と呼ばれる、価格が安めのベーシックなタイヤのほか、「コンフォートタイヤ」「プレミアムコンフォートタイヤ」などと呼ばれる静粛性を追求したタイヤや、「ミニバン専用タイヤ」「軽自動車専用タイヤ」など車種専用タイヤも、低燃費タイヤである場合が多い。
「Bーa」「Cーb」など、最初の大文字アルファベットが「A」以外のラベリングは低燃費タイヤではない。こうしたタイヤには、サーキット走行も可能な「スポーツタイヤ」や、ハイパワーセダン向けの「プレミアムスポーツタイヤ」などがある。
なぜ、転がり抵抗性能とウエットグリップ性能を併記しているのかというと、一般的に転がり抵抗を低減すれば、タイヤはウエット路面での制動距離は伸びるという傾向にあるからだ。
だが今では、各社の技術力の進化もあり、転がり抵抗性能が良いのにウエットグリップ性能も良い、というタイヤも登場している。
ちなみにこのラベリング表記があるのはサマータイヤのみになる。スタッドレスタイヤや、いま流行りのオールシーズンタイヤにはラベリングはない。また日本のラベリング制度に参画していない海外のタイヤメーカーもあり、たとえばコンチネンタルのサマータイヤには表記されていない。また、新車装着用タイヤ(OEタイヤ)にも付いていない。
■エコタイヤに履き替えると年間でどれくらい「おトク」か
では、エコタイヤに替えると、クルマの燃費にどれくらい影響するのだろうか。
一般的には転がり抵抗を低減すれば、タイヤはウエット路面での制動距離は伸びるという傾向にある。だからタイヤ・ラベリング制度は転がり抵抗性能とウエット性能を併記している
タイヤは路面と接している唯一のパーツなので、タイヤを替えれば大きく燃費が変わるような気がするが、じつはクルマの燃費は車体の空気抵抗をはじめ、さまざまな要因が関係してくる。
そのなかでタイヤの転がり抵抗が燃費に与える影響(寄与率)は、一定速度走行で20%から25%、モード試験燃費で10%から20%、一般市街地走行で7%から10%といわれている。
つまり一般道を走行する場合、タイヤの燃費への寄与率が10%だとすると、タイヤの転がり抵抗が10%減ると燃費は1%向上、20%減らすと燃費は2%向上する、という計算になる。
転がり抵抗のグレードは「AAA」「AA」「A」「B」「C」と格付けされるが、グレードが「C」から「B」、「B」から「A」とワンランク向上すると、だいたい10%転がり抵抗が減る、というイメージになる。つまり、グレードがワンランク上がると、燃費は約1%向上するということだ。
具体例を挙げてみよう。いままで転がり抵抗グレードが「C」のタイヤを履いていて、新たに「AA」のタイヤに履き替えると、グレードが3ランク上がるので、転がり抵抗が約30%減るということになる。つまり、燃費は約3%向上する。
この場合、レギュラーガソリンがリッターあたり135円と計算し、仮に燃費が平均10km/Lのクルマで年間1万2000km走行することを想定すると、1年間で4860円おトクになる。
※ ※ ※
いくらエコタイヤに履き替えたといっても、日々の点検を怠ると燃費の向上にはつながらない。
タイヤの空気圧が低いと、転がり抵抗は急激に悪化する。財団法人省エネルギーセンターによると、排気量2000ccのクルマで空気圧が50kPa不足している場合、市街地では2.5%、郊外で4.3%、高速道路では4.8%燃費が悪化するというデータがある。
パンクなどしてなくても、何もしないとタイヤ空気圧は必ず減っていく。一般的には、1か月で約5%ずつ減るといわれている。
1か月に一度は必ずタイヤ空気圧をチェックすることで、エコタイヤに履き替えた恩恵をより受けることができる。点検をすることでタイヤの偏摩耗や傷、ひび割れなどもチェックできるため、パンクやバーストのリスクを抑えることもできる。安心安全のドライブのために、タイヤ空気圧チェックはこまめにおこないたい。
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