いま買い時か!? 「DB7」で始めるアストンマーティンライフに待っているものとは?
くるまのニュース / 2020年10月19日 8時10分
イアン・カラムがデザインした、現代アストンマーティンのデザイン的源流となる「DB7」には、クーペモデルとオープンモデルの2タイプがラインナップしていた。まさに一世を風靡したDB7は、いま、どれくらいの市場価値があるのだろうか。
■現代アストンマーティンの基礎をつくった「DB7」とは?
2020年春から、COVID-19対応でオンライン限定を余儀なくされていたクラシックカー/コレクターズカーの国際オークションだが、業界最大手のひとつであるボナムズ社が9月20日に開催した「The Bonmont Sale 2020」あたりを皮切りに、リアルな対面型オークションもオンラインと併催のかたちながら、欧米各国で再開の兆しを見せているようだ。
スイス国内でおこなわれた「The Bonmont Sale 2020」については、VAGUEでもいくつかのレビューを紹介済みなのだが、実はボナムズ社では同じ9月20日に、同社が本拠を置く英国内においても、オンラインと対面型を併催したオークション「BONHAMS MPH September Auction」を開催していた。
イングランド・オークスフォードシャー州ビスターの空軍基地跡地に作られたクラシックカーの楽園「ビスター・ヘリテージ(Bicester Heritage)」にておこなわれた「MPH September Auction」では、英国車を中心とする100台以上のクラシックカーとコレクターズカーが出品されたのだが、今回VAGUEが注目したのは今世紀初頭のアストンマーティンである「DB7ヴァンテージ・サルーン」と「DB7ヴァンテージ・ヴォランテ」の2台の12気筒モデルだ。
●2001 アストンマーティン「DB7ヴァンテージ・サルーン」
今見ても古さを感じさせない「DB7」のプロポーションは秀逸だ(C)Bonhams 2001-2020
まず紹介するのは、クローズドボディのDB7ヴァンテージである。
2000年に正式リリースされたDB7ヴァンテージは、アストンマーティンを民主化したともいわれるヒット作、1994年から生産された「DB7」のスープアップ版だ。
1950年の「DB2」以来、アストンマーティンの高性能バージョンにおける伝統となってきた「ヴァンテージ」の名を冠し、スタンダードDB7に追加設定というかたちをとってはいながらも、実質的にはマイナーチェンジであった。
イギリスでは「シリーズ1」とも呼ばれる初期型DB7から、もっとも大きな変更となったのはパワーユニットである。DB7がジャガー「XJ6」用のAJ6型直列6気筒DOHC24バルブの3.2リッターユニットに、機械式スーパーチャージャーを組み合わせて搭載したのに対して、「シリーズ2」ことDB7ヴァンテージでは、一気に6リッターのV型12気筒4カムシャフト48バルブ自然吸気ユニットにジャンプアップを果たした。
まもなく生産を終えると伝えられている「ラピードAMR」の心臓部として、今なおギリギリ現役のポジションにあるV12NAエンジンは、当時親会社であったフォードの「モンデオ」などに搭載されたV型6気筒4カムユニットを2つ組み合わせたものともいわれる。
同じV12でも同時代のフェラーリなどと比べると、パワーでは若干分が悪いものの、サウンドやトルク感も野太くて、じつにアストンらしい魅力的なフィールの持ち主である。
パワーはDB7シリーズ1でも330psを発生していたが、DB7ヴァンテージは420psに到達。6速MT仕様では298km/hの最高速度を標榜し、名実ともにスーパーカーと呼ばれるに相応しいパフォーマンスをもたらした。
今回出品されたDB7ヴァンテージ・サルーン(アストンマーティンでは「クーペ」を「サルーン」と呼ぶのが伝統)は、2001年に生産され、英国内にデリバリーされた1台。現状でオドメーターの示す走行距離は2万9870マイル(約4万7000km)と、年式のわりには比較的少なめである。
また、ボナムズ社が作成したオークションWEBカタログを見る限りでは、外装のコンディションも極めて美しいのだが、設定されたエスティメート(推定落札価格)は2万4000−2万8000ポンド、日本円換算では約320万円−約380万円という、V12エンジンのアストンマーティンとしては、かなりリーズナブルに感じられるものとなっていた。
しかも、今回のオークションでは最低落札価格に届かず「継続販売」となってしまったことを思うと、やはり新型コロナ禍におけるコレクターズカーの市場が、ここ数年の高騰・高値安定志向から大きく変貌しつつあるかに感じられてしまったのである。
■「DB7ヴァンテージ」は、いま買いどきなのか!?
ボナムズ「MPH September Auction」に出品された、もう1台のアストンマーティンDB7ヴァンテージは、2+2コンバーチブルの「ヴォランテ」である。
●2002 アストンマーティン「DB7ヴァンテージ・ヴォランテ」
腐ってもアストンマーティン。これほどまでに使い込まれても値段がつくというのは、さすがアストンマーティンだ(C)Bonhams 2001-2020
アストンでは「DB6」時代初期に「DB5ドロップヘッド・クーペ」をベースにDB6のディテールを与え、わずか37台が製作された「アストンマーティン・ヴォランテ(通称ショートシャシ・ヴォランテ)」以来、コンバーチブル版をヴォランテと呼ぶようになり、DB7シリーズでもその慣習が踏襲されていた。
今回の出品車であるDB7ヴァンテージ・ヴォランテに対して、ボナムズ社は1万6000−2万ポンド、日本円に換算すれば約210万円−270万円という、ちょっと驚いてしまうほどに控えめなエスティメートを設定していた。
クラシックカービジネスの世界では「ドアの数は少ないほうがいい。できればルーフは無いほうがいい」などとしばしばいわれるのだが、こと今回の出品車については同じオークションに出品されたDB7ヴァンテージ・サルーンよりも、大幅に安価な設定とされていたのだ。
しかし、ボナムズ社が作成したオークションWEBカタログに正直に記された「In need of some re-freshing(リフレッシュが必要)」の一文を見れば、安価なエスティメートの理由が判ってくるだろう。
現状での走行距離は約5万7000マイル、約9万7000kmとけっこう伸びてはいるものの、18年落ちであることやヨーロッパでのクルマの使用環境を思えば、一概に「過走行」とは言えないレベルである。
また、WEBカタログによると、エンジンや5速ATなどの機関部について「has been serviced and is now running and driving well.(メンテナンスを受け、良く走る状態にある)」と記されているなど、メカニカルコンディションは完調と思われる。
それでもエスティメートが低く見積もられてしまったのは、エクステリア/インテリアともに、かなり難アリのコンディションが最大の要因であろう。
エンジンフードはクリア塗装が一部剥げた状態で、アイヴォリーの本革シートにもかなりの使用感。正直なところ「リフレッシュ」というよりは「レストア」が必要であるかにも見える。
この内外装コンディションがシビアに評価されたのか、9月20日におこなわれた競売ではリザーヴ(最低落札価格)に届かなかったようで、残念ながらDB7ヴァンテージ・サルーンと同じく流札。現在でも、ボナムズ社営業部門によって継続販売となっている。
* * *
さて、ここまでは遠い海外での話なのだが、DB7ヴァンテージ/ヴァンテージ・ヴォランテについては、日本国内のマーケットでもまれに売り物が出ることもあり得る。
そして、もしも貴方がアストンマーティンに憧れ、DB7ヴァンテージを手にしたいと切望しているならば、筆者は心からのエールを贈りたいと思う。
確かに、「DB9」および初代「V8ヴァンテージ」以降のアストンに比べると、トラブルの可能性がかなり大きくなってしまうことは否定できない。
しかし双方のDB7ヴァンテージともに、現代のアストンマーティンにはもはや望むことのできない、豪放磊落(ごうほうらいらく)なフィールが存分に味わえる、旧き良き自然吸気V12エンジンがこのプライスで味わえるというのは、なかなかリーズナブルとも感じられてしまう。
こと趣味の領域で「コスパ」なんて観念を持ち出すのは野暮と言い切ってしまえる豪快な英国車エンスージャストには、労苦と出費に見合うだけの幸福感が待っていると信じたいのである。
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