「ホンダe」やレクサス「UX300e」…2020年に新型EVが続々登場する理由
くるまのニュース / 2020年10月27日 11時50分
10月22日、レクサス初の電気自動車(EV)「UX300e」が発表された。このレクサスUX300eや「ホンダe」、そしてアウディ「e-tronスポーツバック」やプジョー「e-208」「SUV e-2008」など、2020年は日本車・輸入車問わず日本で多くのEVが発売されている。その理由はなにか、考えてみた。
■2021年導入予定 欧州の厳しい燃費規制「CAFE」が背後にある
レクサス初のEVとなる「UX300e」が、2020年10月22日に発表された。
また、EVといえばホンダからも、同年8月に「ホンダe」が発売されている。
さらに輸入車に目をやれば、アウディのEV「e-tron Sportback」(2020年9月発売)、プジョーのEV「SUV e-2008」(2020年9月発売)と「e-208」(2020年7月発売)、DSのEV「DS 3 CROSSBACK E-TENSE」(2020年7月)が発売されている。
ちなみにメルセデス・ベンツは、2019年7月に、すでにEVの「EQC」をリリースしており、昨年から今年にかけて、数多くの新型EVが日本に登場している。
では、なぜ、突然のように、これほど多くのEVが日本で発売されるようになったのだろうか。
その理由は明確だ。答えは欧州のCAFE規制(Corporate Average Fuel Efficiency)と呼ばれる燃費規制となる。
これは、個々のクルマではなく、企業ごとに燃費を規制しようというもの。その自動車メーカーが発売する車両すべての燃費を合算し、その平均で見るという方法だ。
しかも、CAFE規制が設定する燃費性能に届かなかった場合、販売したクルマの数だけ罰金を課するというのも特徴だ。
さらに、その目標値が非常に厳しい。1リッターあたりの走行で排出するCO2排出量が、95gだというのだ。
これを燃費に換算すると、約24.4/L。日本のコンパクトカー・ハイブリッド車であればクリアできそうなものだが、高級大型セダンやスポーツカーでは至難の業。さらに、最近の流行であるSUVもクルマが大きく重いため、燃費性能的には不利となる。高性能な大型SUVであれば、当然、約24.4/Lの目標クリアは絶望的といっていいだろう。
しかもこのCAFE規制の厳しいのは、CO2排出量が95g/Lの目標をオーバーした場合、1gあたり1台に95ユーロ(約1万2000円)の罰金を課すという。この罰金額も厳しい。
計算すると、10gオーバーしたクルマ(それでも約22.1/l相当)を10万台売るだけで、9500万ユーロ(約10億2000万円)の罰金だ。そのため、燃費の悪い大型車やスポーツカー、SUVを数多く売るメーカーにとっては、罰金が莫大なものになる。
メーカーごとの罰金が10億ユーロから40億ユーロ(日本円で約1250億円から約5000億円)に上るという試算さえある。これは経営にとって大打撃なことはいうまでもない。しかも、CAFE規制の導入は2021年。まさに目の前に迫る危機だ。
■日本でEVは今後も受け入れられる!?
そんな危機を防ぐ切り札となるのがEVだ。
2020年10月22日に発表されたレクサスブランド初のEV「UX300e」
CAFE規制でEVは、CO2排出量ゼロにカウントされる。つまり計算上、1台のEVを販売すればもう1台のエンジン車の燃費規制は95g/km(約24.4・/L)の半分(190g・約12.2km/L)でも良いことになる。
そこで、欧州メーカーは一斉にEVの開発に乗り出した。
その結果、2019年から2020年にかけてメルセデス・ベンツ、アウディ、フォルクスワーゲン、PSA、オペル、ポルシェなど、主だったメーカーは欧州市場にEVを投入。さらに欧州でビジネスをする日系ブランドもEVに取り組んだ。
それがレクサスのUX300eであり、ホンダe、そしてマツダのMX-30だ。MX-30は、日本市場にはガソリンのマイルドハイブリッド車で登場したが、欧州ではEVが先行して発売されている。
厳しい規制の結果、数多くのEVが欧州で誕生した。数多くのEVが突然、日本に来襲したのは、そうした欧州の規制の余波といえるだろう。昨2019年から日本で新たに発売されたEVは、すべてが欧州向けに誕生したものばかりなのだ。
ちなみに日本は、世界でもEVの普及がトップクラスに進んでいる国といっていいだろう。
国を挙げてEV普及にまい進する中国や、電気代がほぼ無料の北欧の一部の国にはかなわないかもしれない。しかし、欧州のほとんど国と比べれば、現時点では日本のほうがEVの普及は進んでいるのではないだろうか。
日産の誇るEVである「リーフ」や三菱自動車のEVである「i-MiEV」は、すでに発売から10年を経た。街でEVを見かけるのは珍しいことではない。全国のEV用の充電スポットは約1万8000か所もあり、その数はガソリンスタンド数の約6割に相当する。
高速道路のほとんどのSAには、EV用の充電器が備えられている。普及率が高いわけではないが、10年前から導入されているという歴史は無下にはできないものだろう。
つまり、せっかく開発した新型EVなのだから、インフラの整っている日本市場でも売れるだろうと欧州メーカーが考えたのだろう。それが2019年からの日本へのEVラッシュといえる。
ただし、店頭に並べれば黙って売れるというほど、日本の市場は甘くはない。
欧州のように、環境問題に対する注目や期待が高まっているわけではない。そもそも日産や三菱自動車という地元メーカーでさえ、EVの販売はガソリンエンジン車やハイブリッド車と比べて苦戦しているのだ。
だからこそ、マツダは欧州においてEVとして販売するMX-30を、日本ではまずはガソリンエンジン車として導入した。欧州メーカーによるEVラッシュは、日本ではどのように受け止められるのか。その動向に注目したい。
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