ミニバンは嫌? 女性の車選び「使いやすさ」より「かっこよさ」優先に変化
くるまのニュース / 2020年11月1日 9時30分
ファミリー層から絶大な人気を誇るミニバンですが、最近では奥様方から「ミニバンは嫌」という声を聞くようになったといいます。なぜ、ファミリーにとって使い勝手の良いミニバンではなく、SUVに関心が移り変わっているのでしょうか。
■奥様の好みは「ミニバン」から「SUV」へ?
ひと昔前までクルマは男性を意識した開発や宣伝がおこなわれていましたが、近年は女性ユーザーや奥様目線のクルマが多くなってきており、なかでも「ミニバン」は使い勝手の良さから奥様達から人気のジャンルとなっています。
しかし、最近はその傾向に変化が見られるようです。女性ユーザーがミニバンよりも関心を示しているクルマとは、なんなのでしょうか。
過去30年の国内新車市場では、「セダン」に始まり「軽自動車」「コンパクトカー」「ミニバン」が長らく人気を占めるジャンルでした。
その後、2010年くらいからは「SUV」も人気ジャンルのひとつとして、各メーカーからさまざまなタイプのモデルが登場しています。
従来、クルマの購入は男性がメインターゲットに思われますが、近年は女性に対してのアピールとして、使い勝手や機能などが意識されるようになりました。
とくに、ファミリー層をメインターゲットとするミニバンでは、男性(旦那)だけでなく、普段の利用場面として、子どもの送り迎えなどで奥様が運転することもあり、購入時の最終的な決定権を握っているということも多いため、「奥様目線」がひとつの購入ポイントといえます。
そのため、ミニバンは家族みんなが乗れる居住性(多人数乗車)とスライドドアの利便性や積載力、女性でも運転席の目線が高いことから操作性という、まさにファミリー層には最適のクルマなのです。
ミニバンジャンルは、1990年代にトヨタ「エスティマ」やホンダ「オデッセイ」が先駆け的存在といわれています。
その後、日産「セレナ」や「エルグランド」、2000年代にトヨタ「ノア/ヴォクシー」や「アルファード/ヴェルファイア」、コンパクトミニバンのトヨタ「シエンタ」やホンダ「フリード」が登場したことでミニバン人気を定着させました。
トヨタの販売店スタッフは、ミニバンについて次のように説明しています。
「家族で使うことを考えると一番理想に近いクルマがミニバンといえるため、依然として人気は高い傾向にあります。
しかし、各自動車メーカーからは、コンパクトや3列シート車など多様化するニーズに応えられるようにさまざまなSUVが出ています。
そうしたことから、ミニバンでなくても良いと考えるファミリーがSUVに乗り換えることも見かけます。
とくに、最近のSUVはデザイン性が高いほか、ミニバンよりも乗り心地が良いこともあり、若年層ファミリーからも好評です」
※ ※ ※
しかし、最近では奥様達から「ミニバンは嫌」という声が増えているといいます。
首都圏在住の幼稚園に子どもを通わせている奥様達は次のように話します。
「ミニバンはスライドドアや人を多く乗せられることは魅力ですが、車体が大きいので狭い道や駐車時に苦労します。
ほかのクルマに比べて四角いから運転しやすいと聞きますが、人によっては慣れても運転しにくいと思います。
親戚のSUVに乗った際には、車高が高いおかげか段差なども気にならなく乗りやすかった印象です」(20代・子ども1名)
「いま、メインはSUVに乗っていて、サブとして軽自動車に乗っています。以前までは、ミニバンをメインとして遠出に出かけていましたが、高速道路などではいまのSUVの方が快適です。
ただし、近所での移動はスライドドアの軽自動車の方が使い勝手が良いです」(40代・子ども3名)
「最初は、クルマのことをよく知らずスライドドアなど使い勝手の良さが魅力的でしたが、出かける際に同じクルマと遭遇することも多く、他人と一緒というのが嫌かなと思いました。
最近では、SUVでも使い勝手を意識したクルマも多いので乗り換えを検討しています」(40代・子ども2名)
■軽自動車は普通車以上に女性ニーズに特化し始めた?
軽自動車やコンパクトカーも女性から人気が高いジャンルですが、乗車人数や積載性を考えると劣ります。
しかし、都市部以外の地方では「一家に一台」といわれるほど、クルマとの関わりも深いため、セカンドカーとして近所の買い物などに使いやすい軽自動車が人気です。
とくに近年では主婦層を始めとする女性をターゲットにしたコンセプトをもつモデルも多く存在します。
スズキ「アルトラパン」のユーザー構成比は、約9割を女性が占め、なかでも20代から30代がもっとも多いとされています。
特別仕様車の「アルトラパン モード」では、シックでクールな印象のなかにも女性らしいかわいさが感じられる“大人かわいいラパン”をコンセプトとしています。
また、「女性らしさ」を全面に押しているのがダイハツ「ミラトコット」です。
ミラトコットは、ボディ先端が見やすく車両感覚がつかみやすいスクエアなボディとひと目で分かるスイッチ類や使い勝手の良いインテリアを特徴にした、若い女性をターゲットにしたクルマです。
ダイハツの担当者は、ミラトコットについて次のように述べています。
「ミラトコットは、想定ユーザーに近い7人の女性社員が部門を超えて集まり、開発を担当しました。
いままでの男性からみた女性らしいクルマづくりではなく、女性目線からみたクルマづくりをするために、女性主導のプロジェクトとしています」
最近では、SUV風なデザインを設定するコンパクトミニバンも存在(ホンダ・フリード)
クルマの購入は、利用用途によって大きくニーズが変化します。
ひと昔前までは、男性が主導する形でクルマの購入を検討していましたが、最近では女性がメインとなったクルマづくりや販売戦略が多くなっています。
若者のクルマ離れとはいわれる一方で、女性視点で見てみるとクルマに親しみやすくなった時代に変化しているようです。
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