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突然のチェーン規制! オールシーズンタイヤは走行可能? スタッドレスは問題なし?

くるまのニュース / 2020年12月31日 11時30分

2020年12月16日に降った大雪により、関越道小出ICから塩沢石打ICの間では2000台以上のクルマが立ち往生、解消するのに2日間かかってしまったというニュースは記憶に新しい。通行止めならばどのクルマも通行できないが、いま流行のオールシーズンタイヤを履いていたときに高速道路で「チェーン規制」になった場合、走行することはできるのだろうか。

■1年中履き替えいらずで流行の兆しのある「オールシーズンタイヤ」

 春/夏/秋のドライやウエット路面だけではなく、冬のスノー路面も走行できるため、一年中履き替える手間がいらないということで、日本でも流行の兆しのあるのが「オールシーズンタイヤ」だ。

 オールシーズンタイヤの歴史は意外と長く、いまから40年以上前の1977年、グッドイヤーが北米で「TIEMPO(ティエンポ)」という世界初のオールシーズンタイヤを発売したのが最初といわれている。

 日本では2008年から、グッドイヤーが「ベクターフォーシーズンズ(ベクター4)」を発売したのが最初となる。以来、ベクター4のみの時代が続いていたが、近年ではグッドイヤーやミシュランなどの海外ブランドだけではなく、国産タイヤメーカーからも続々とオールシーズンタイヤが発売されている。

 冬の雪道も走ることができる「冬タイヤ」に属するオールシーズンタイヤを履いたクルマで、チェーン規制時に高速道路を走行することはできるのだろうか。

 いま、一般的にチェーン規制と呼ばれているものはふたつある。まずひとつは「冬用タイヤ規制(すべり止め装置装着規制)」だ。

 雪が降った場合、高速道路では段階的に交通規制が入る。

 雪が降ると、まずは最高速度が50km/hないし80km/hに規制される(最高速度が最初から60km/hに制限されている区間については40km/hに規制される場合もある)。

 次に降雪が多くなると「冬用タイヤ規制(すべり止め装置装着規制)」になる。一般的にはこれがチェーン規制と呼ばれるものになる。その後さらに路面状況が悪くなった場合、「チェーン装着車以外通行止め」となり、最後は「全車通行止め」となる。

 ただしこれらの規制は、道路交通法に基づく高速道路交通警察隊長の権限でおこなわれるので、以上のような段階を経ずに全車通行止めになることもある。

 もうひとつ、チェーン規制と呼ばれるものは「チェーン装着車以外通行止め」だ。

 2018年12月14日に「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(昭和35年総理府・建設省令第3号」の一部が改正され、新しい規制標識が新設された。

 これは大雪特別警報や、大雪に対する緊急発表がなされるような異例の降雪があるときにおこなわれるチェーン規制で、この場合はオールシーズンタイヤだけではなく、たとえスタッドレスタイヤを履いていても、チェーンを装着しなければ走行できない。

 この場合のチェーンとは、金属チェーンのほか、ウレタンやゴムチェーン、樹脂製チェーン、布製カバータイプなど、自動車用品店などで販売されているものであれば大丈夫だ。ただし、「スプレーチェーン」と呼ばれるスプレータイプの滑り止めは、チェーンには当てはまらないので、たとえ持っていたとしても走行はできない。

 この新しいチェーン規制は、現在以下の全国13カ所を対象区間としている。

【一般道6か所】
●月山道路(国道112号:山形県西川町月山沢から鶴岡市田麦俣)15.2km
●山中湖・須走(国道138号:山梨県山中湖村平野から静岡県小山町須走字御登口)8.2km
●大須戸から上大鳥(国道7号:新潟県村上市大須戸から村上市上大鳥)15.3km
●石川県境から坂井市(国道8号:福井県あらわ市熊坂からあらわ市笹岡)3.2km
●赤名峠(国道54号:広島県三次市布野町横谷から島根県飯南町上赤名)2.5km
●鳥坂峠(国道56号:愛媛県西予市宇和町から大洲市北只)7.0km

【高速道路7か所】
●上信越道(E18:信濃町ICから新井PA:上り線)24.5km
●中央道(E20:須玉ICから長坂IC)8.7km
●中央道(E19:飯田山本ICから園原IC)9.6km
●北陸道(E8:丸岡ICから加賀IC)17.8km
●北陸道(E8:木之本ICから今庄IC)44.7km
●米子道(E73:湯原ICから江府IC)33.3km
●浜田道(E74:大朝ICから旭IC)26.6km

冬の高速道路走行は天候の急変にも気をつけたいところだ冬の高速道路走行は天候の急変にも気をつけたいところだ

 この2018年12月からはじまったこの「チェーン規制」は、大雪によって立ち往生するクルマが発生しそうな、大雪特別警報などが発表されたりする特別なときに、全国13か所という特別な場所でおこなわれるものだ。ちなみに先日の大雪で2000台以上が立ち往生してしまった関越道小出ICから塩沢石打ICは、この対象区間に含まれていない。

「スタッドレスタイヤを履いているのにチェーンを装着しないと走れないのはおかしい」という意見もあるようだが、逆に考えれば「タイヤチェーンをつけていれば通行できるようにすることで、これまでよりも積雪による通行止め時間を短くする」ことを目的としているということだ。

■オールシーズンタイヤもスタッドレスタイヤ同様「冬用タイヤ」

 多くの人が「チェーン規制」と聞いて想像するのは、「冬用タイヤ規制(すべり止め装置装着規制)」のことだろう。

冬用タイヤ規制(すべり止め装置装着規制)の看板冬用タイヤ規制(すべり止め装置装着規制)の看板

 この冬用タイヤ規制は、「規制」という呼び方をされるが、道路交通法上の「運転者の遵守事項」の履行を求めるもので、積雪/凍結路でクルマを運転する場合にタイヤの「滑り止め措置」を講じることをドライバーに求めるものになる。罰則規定などはない。

 この「滑り止め措置」の内容は、各都道府県公安委員会が規則で定めているため、それぞれ若干違ってくる。

 たとえば北海道の場合は、北海道道路交通法施行細則の第12条第2号に「積雪し、又は凍結している道路において、自動車若しくは原動機付自転車を運転するときは、スノータイヤを全車輪に装着し、又はタイヤ・チェーンを取り付ける等滑り止めの措置を講ずること。」と書かれている。

 ちなみに東京都の場合は、東京都道路交通規則第8条第6号に「積雪又は凍結により明らかにすべると認められる状態にある道路において、自動車又は原動機付自転車を運転するときには、タイヤチェーンを取り付ける等してすべり止めの措置を講ずること。」とある。

 各都道府県により若干の違いはあるが、おおむね「全車輪に冬用タイヤを装着する」または「おもな駆動輪にチェーンを装着」すれば、滑り止め措置をしているとみなされる。

 スタッドレスタイヤはこの「冬用タイヤ」に当てはまる。では、オールシーズンタイヤではどうだろうか。

 オールシーズンタイヤには、サイドウオールに「スノーフレークマーク」と「snow」マーク、そして「M+S」マークが表記されている。

 スノーフレークマークとは、国際標準化規格認定機関「ASTM」の公式試験で、シビアスノー条件に適合したことを証明した証だ。このマークが付いていると冬用タイヤとして認められるので、オールシーズンタイヤはスタッドレスタイヤ同様、冬用タイヤになる。このマークの正式名称は「スリーピーク・マウンテン・スノーフレークマーク」だ。

 snowマークは、日本において冬用タイヤであることを容易に確認できるもの。ただし冬用タイヤとしての性能を保証する効力はないという。

 M+Sマークの意味は、「マッド&スノー(泥&雪)」の頭文字からきている。一般的なスタッドレスタイヤもオールシーズンタイヤも、このM+Sマークが付いている。

 ちなみにこのM+Sマーク、ほかにもSUVや4?4用のオールテレーンタイヤ(A/T)やマッドテレーンタイヤ(M/T)に刻印されていることが多い。

 このA/TやM/Tは、サマータイヤに比べるとスノー路面にも対応しているが、厳密にいえば冬用タイヤではない。

スタッドレスタイヤとオールシーズンタイヤはトレッドパターンを見ても違いがある。右が横浜ゴムのスタッドレスタイヤ「アイスガード6」、左がオールシーズンタイヤ「ブルーアース4S」スタッドレスタイヤとオールシーズンタイヤはトレッドパターンを見ても違いがある。右が横浜ゴムのスタッドレスタイヤ「アイスガード6」、左がオールシーズンタイヤ「ブルーアース4S」

* * *

 まとめると、いま流行の兆しのあるオールシーズンタイヤは、スタッドレスタイヤと同様、冬用タイヤになるため、降雪時の高速道路での「冬用タイヤ規制」でも走行することが可能だ。

 ただし、2018年シーズンからはじまった、新たなチェーン規制「チェーン装着車以外通行止め」では、オールシーズンタイヤでも、スタッドレスタイヤでも、チェーンを装着していないと走行することはできない。

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